In Absentia

2007年9月21日 音楽
Porcupine Tree CD Lava 2002/09/24 ¥1,439

言わずと知れたバンドだけど、メタル寄りの音が駄目な自分にも聴きやすかった一枚。インストの「Wedding Nails」などでは思い切りメタリックで攻撃的・テクニック志向なギターを聴かせつつも、全体的にはその中に深さというかまろやかさが垣間見られて聴きやすかった。クリアな空気の中にメロウな蔭がひそませてある前半の楽曲群をはじめとして、なめらかな水面を思わせるメロディーや美しいハーモニーも凄く心地よくてとっつきやすい。音を追っていく限りではこのジャケットとえらくギャップがあるように感じられるのだけど。

蒼い鳥

2007年9月10日 音楽
フジファブリック CD EMIミュージック・ジャパン 2007/01/10 ¥1,000

なんだか厳格でフューネラルな雰囲気の表題曲。ちょっとプログレ風味。
ほこりっぽい光のさす道で外と自分をつなぐなにかを掴みかねている誰かの姿が連想させられて、個人的にはかなり良かったんだけど…これまでのファンにとっては取っ掛かりの少ない曲であるように感じられました。

カップリングの「東京炎上」はフジらしさというか志村節全開。「時計を止めてPARTY NIGHT」というオープンなフレーズがいびつに放たれる異様な素敵さ。そういうところ好きです。

*****

と以前書いたものを引っ張り出してきたのは約三ヶ月遅れで「Surfer King」を今日聴いたからなんですが。フジの中ではどっちかというとシリアスな面持ちの楽曲が好みなんだけど、今回のは何だか「太陽の季節」だとかの時期の青春映画を連想させるギターの音色にはじまり、ファニーな間奏のキーボードからサビにぐっと開ける瞬間のすがすがしい快楽がとてもよい。
どう見ても文科系な志村氏の書く歌詞の変態っぽさがやっぱり好きなんだけど出だしから吹いた。それに歌詞に「フフフフフ…」まで載せなくていいのにwwwこれ普通のハミング部分でしょ?っていう。そういう妙な所も含めて、それが計算されたものか(無理にいびつに明るい自画像を選択しているのかなあとか)否かは知れないけど、何となく一目置いてしまう。なんかこれ語弊があるかもしれないけど、脳内宇宙に生きる童貞っぽさみたいなのが魅力だった気がするんだよね以前は。

…やっぱり「いいな」と思ったものについて書くの苦手だわ。今後その弱点を補完していかなければ。

PEEP SHOW

2007年9月10日 音楽
メリー CD ビクターエンタテインメント 2006/07/19 ¥3,675

では久々に音楽について。

以前「nuケミカルレトリック」がやたらキンキンして耳が受け付けなかった時以来のまともな視聴。その時にも思ったけど、やはり張り切って前に出すぎるドラムがこのバンドにおいてネックになっているのは疑いようがない。と思う。ごめんなさい。土台のせいかどの曲も画一的に聴こえるんだよなあ。あと響きが不思議で、スティックではなく例えばブラシ(機材については門外漢なんであくまで想像ですが)とかで無理矢理叩いているような金属的で空洞のあるぱらぱらした音。まさか全部にエフェクトかけないだろうし映像見たら普通にスティックで叩いているんだけど、とするとショットが力任せなんでしょうか。

「レトロック」と称しているとおり全体的な作風としては、威勢のいい昭和歌謡ジャズ/スカを意識したノリを中心としていて、M8「レトロフューチャー」のようなファンク風もあり。M4「さよなら雨」なんかはいかにも日本人的な良メロだし(タイトル書くのも恥ずかしくて躊躇われるM9やM11みたいなコテコテでクサすぎるのもありますが)、アレンジ次第で聴きやすくなりそう。とにかく楽器隊が、各々負けじと一斉に飛び出し合うかここがいかにもキメですよという感じで設定されたポイントで一斉に引くかぐらいのメリハリしか持たない性急さが約50分間ずーっと続くのは耳に厳しい。限界値まで音を詰め込むぜ!ぐらいのドラムと、ビジュアル系をいかにも踏襲した甲高い音色のリードギター(いや、これは個人的な好みですね)とが中でも目立って。

それでも聴く気になったポイントとしてはメロのとっつきやすさもそうだけど「声が好み」の一点に尽きる。ハスキーで時々痙攣のように引き攣れるボーカルが滅茶苦茶好みなおかげで大体どの曲もいける私です。魔が差しちゃったとしか思えないあんまりなタイトルや歌詞が散見されるのもまあ、味に転化できるんじゃないでしょうか。決してダサいだなんて思ってませんよ!
羅針盤 CD トラクターエンタテインメント 2003/09/18 ¥1,575

「さけび」が良すぎる。盛り上がりらしい箇所もないし9分間もある楽曲だけど、時間が経つごとにじわじわ効いてきてまた聴きたくなる。歌が入る部分以外はフィードバックノイズにまみれているのに何故か現実離れした浮遊感を同時に感じさせるのは、包むように歌う声とドラムのせいなのだろうか。
ぱっと見の佇まいは慎ましやかで優しいのに、その合間に諦念や無常観が見え隠れして、そこにふいっと誘われそうな、ちょっと怖いような奥深さを持つ人達です。あと、言葉がすんなり心に落ちてくる。こういう時間軸の向こうにあるような不思議な音を出せるバンドは他にはないと思う。

2007年3月19日 音楽
http://pv-tube.com/blogDo.00031.html

ネットを巡っていたらこんな記事が。全然知らなかったなあ。
虐待とかトラウマとか両親との不和とかって一世代ほど前のV系バンドが好んで使用していた(ただし記号的に)テーマだったと思うので、以前これを見た時には「今回もエグイなあ」ぐらいで割と軽く流していたんだけど、改めて見たら記憶していたものよりもずっと良かった。サブリミナル的に挿入される映像(V系の映像ってコマ割り多いものが多い気がする)や少年が作っているコラージュ(ジャケットになっている奴ですか)、ラストの団地のショットなんかが効いていて。間接的手法を取り混ぜた表現って好きです。
まあしかしエグイのはエグイ。
A Whisper in the Noise CD Transdreamer 2006/04/18 ¥1,653

不吉さをまとったオルゴール?チェンバロ?風の金属音で始まるワルツ調の「the tale of two doves」が一曲目というあたりからがっちり心を掴まれたけど、その後に控えるタイトル曲も、予測できないタイミングで声を病的に荒げるボーカルと子供のあどけないコーラスとの取り合わせが静かに混沌としていてすごい。
全編うっすら埃をかぶったような霞んだ音像がとにかく良くて、風に吹かれたドアのような音色できしきしと鳴るギターや物悲しいピアノ、バイオリンやパーカッションの使い方など演奏面だけでも細かい仕掛けがあちこちに施されていて集中力を途切らせずに聞き込めるのだけど、それらが展開する世界の薄暗さや鬱度が半端じゃない。

六曲目からの流れが私は好きで、後半徐々にノイズに侵食される「havoc」、サビでの合唱は意図して不協和音的に作ってあるのが伺える「until the time〜」には終始物悲しさがつきまとい、そういう不穏な流れにスッと差し出される「the sounding〜」ではピアノが純粋に安らぎを醸し出す側面を担った曲でほのかな月の光を思わせるのもつかの間、次に置かれた昏いインスト「bridal」はまたもやノイズギターまみれでピアノはさっきまでの顔を捨て去り再び闇をつめたく浸している(そして何故このタイトル…)。ラストの厳粛な「the times〜」ではたどたどしく現実に復帰するさまを想像させられ、浄化される気持を味わうものの、最後の最後に入っている断続的な声にうわあ…と怯えた。夜中に遠くで誰かが叫んでいるような得体の知れなさ。

一言で言うならクラシカルなゴスという雰囲気なんだけど、一聴した印象としてはトラウマチックな心象風景をぐちゃぐちゃっと取出してばらばらにつぎ合わせた感じかなあ。でそのつぎ合わせたものからは、意味に彩られたような一貫性やわかりやすい物語(「消費向き」というような)が見出せないから、そういうセンセーショナルな派手さがないだけにじわじわくる。昏々とした眠りに侵食される日常の、悪夢じみた鬱をうまく掬い上げている…というのはあまりに主観的すぎる感想だけど、とにかく気に入った。気分のすぐれない日に横たわって聴くにはいいと思う。ネット上の評価だけ見て買ったけど、ジャケットも好きだしかなりのアタリ。
初めて生で見るとあって、緊張で若干挙動不審になりながら早く始まっちまえよ!とSEの鳴り止むのを待ち望んでいたのだけど、その期待を十分に満たす充実したライブだった。選曲はやはり『極彩』からのものがメインで、そのタイトル曲で激しく幕を開ける。
一曲目「極彩」からまだ自分のテンションが上がりきっていなくて十分ついていけなかったのが物凄く悔やまれるほど熱い演奏を聴かせる。その後「嘆きの鐘」「スイミン」といきなり畳み掛けるのにも嬉しい驚きを感じたのだけど(「スイミン」があんなに楽しいとは!)、その流れへ更に「絶望」が叩き込まれるなんて!とイントロでの逹瑯の呟きを聴いている段階で感無量すぎて悶絶して、ソロ部分でYUKKEがベースを掲げるようにして一瞬だけはじくように弾いた(チョッパーと言うの?)姿にもかっけー!と思ったりもして、序盤から見せ場多く進んでいく。

事前に読んだライブレポでは、ライブになるとギターのミスが時々目立つ事が指摘されていて、確かに「ガーベラ」のギターや「蘭鋳」(だったかな)のボーカルのピッチのずれなどのうわものが若干乱れる場面はあったのだけど、リズム隊が硬派で終始どっしり安定しているおかげで全体が崩れない印象を受けた。それから演奏の分厚さもさることながら、逹瑯の力強いライブパフォーマンス(なんて取り澄ました言い回しをしたら申し訳ないほどの)が熱気を高めていたように思う。腕を高く掲げて(ぐいーんって感じで)引き寄せるようなアクションや片足を高く上げて暴れたりのほか、ツイストみたいな動きや床に座り込んでのヘドバンもあったりで物凄くアクティブ。ライブ映像と同じだ!みたいな変な感動を味わいました(笑)そんなふうに逹瑯が、コール&レスポンスや縦横無尽のアクション、渾身の叫びでもって積極的に流れを作っている印象がしたのだけど(フロントマンだからというだけかもしれないけど)、それがはっきりと功を奏している事が会場の熱気を通して感じられた。攻めるだけでなく観客のテンションを絶えず引き出そう/引き寄せようとしているというか、距離を縮めようとしている姿勢が感じられたというか…個人的にはあの歌いながらの自然な手の動きがすごく良いなと思うし誘発された部分はかなりあった。

中盤の、セッションからつなげられた「25時の憂鬱」は、聴き応えありだろうと想像していたがやはり空気が濃密だった。ピーンとした不穏な音色のギターが鳴らされる瞬間のしびれる緊迫感、それからソロ部分で原色のライトが激しく瞬く中に断続的にとどろくドラムは何だか雷鳴を思わせて視覚的ですらあった。見せるという意味ではこの曲が個人的にはハイライト。
もう一つ印象的だったのは「流星」かな。最近の楽曲の中ではかなり好きなのだけど、放射状の照明のせいで逹瑯に後光が射していたのがいかにもという感じで若干笑えたのだけど、原曲の美しさとは違ったおもむきのある演奏だった。途中で突然ドラマチックに色づきこちらへ向かってくる(ように聞えた)ギターも良かったし、ボーカルは地面から噴射する切実さのほとばしりを思わせて、半分デス声で歌われる「流星」というのもこれはこれでなかなか熱量に満ちていて感動的だった。
それから新曲の「リブラ」。MCを聞いた感じでは大阪が初披露?最近の流れからして次もポップ系かと思っていたのにハードコアに近いもので意外性に打たれた。Aメロはラップというか語り調で、サビでメロディーへ開けるパターンかと思いきやここでも楽器隊の比重が大きかった(ライブだからかもしれないが)、全体的にミドルで重い曲。サビでボーカルの枯れ声にギターがクラシックのカノンの導入部を彷彿とさせるフレーズでさり気なくかぶさってきたのがとても綺麗だったのだけど、これは全くうろ覚えだし音源では違うものになるとは思う。

アンコールは、「これ何でライブで盛り上がるの?」と疑問だったがいざ生で聴くと本当に楽しかった「大嫌い」(こんな内容の曲なのに皆で笑顔でノッている光景は奇妙で笑えた)、曲間で一旦演奏を止めたところへSATOちが立ち上がって客席を煽ってドラミングののち元の流れへ戻る「名も無き夢」(かっこよかったなー)、息もつかせない硬派なハードコア「G.M.C」と進む。
でこの時考えていたのが、私としては「G.M.C」でストイックにしめても良いけどな、でもどうせ最後に「優しい歌」で大団円って感じにするんでしょ、ぐらいの超投げやりな予想だったのだけど(というのも「優しい歌」の沖縄ソング風味が全然受け付けなくてCD再生時にも唯一飛ばしていたので)、すべてが終わってみてすぐにそれを撤回した。これが演奏されている時の雰囲気がアットホームでとてもあたたかかった。途中で客席と一緒に合唱するパートがあるけれど、凄く気持ちが入っているのが伝わってきたのとメンバーも笑顔だったのと、上手くは言えないけれど会場がやわらかい一体感に包まれていたように思う。これをラストにおいた事で今日一日の見え方がぐっと変わったし、過大なずれた評価かもしれないが愛情のようなものが受け取れたライブだった。いい人達だなーとさえ思って、しみじみとあたたかさをかみ締めながら帰った。

メロコア系の楽曲(謡声、名も無き夢、夕紅)も昔のビジュアル系然とした曲(「スイミン」等はこのジャンルの持つ独特の面白さが出ていると思う)もそれぞれの彩度を持って存在していたのが面白かったかな。こういう人達が突き抜けて明るい楽曲もやる事に感慨深いものを覚えました。本当に楽しかった、男らしいライブでした。また是非行きたい。
そういえば数少ないMCの中で「イヤホンしてると声が聞こえにくいんだよね…(と言いながら外して)おおーすげー………今鳥肌たったわ…」と歓声を聞いて素朴な感想をもらした逹瑯の何気ない口調が良かったです。

超楽しかったのでうろ覚えセットリスト(2/25訂正)
1.極彩
2.嘆きの鐘
3.スイミン
4.絶望
5.キンセンカ
6.ガーベラ
7.蘭鋳
8.月光
9.パノラマ
10.リスキードライブ
11.ディーオージー
12.25時の憂鬱
13.ホリゾント
14.流星
15.謡声
16.娼婦
17.茫然自失
18.夕紅
19.リブラ(新曲)

en.1
20.大嫌い
21.名も無き夢
22.G.M.C

en.2
23.優しい歌
昼ご飯はひじきと三つ葉の混ぜご飯、ベーコンとキャベツの酢醤油和え、野菜スープをものすごく適当に作って適当な器で食べる。
これからムックのライブを観に大阪へ行きます。初参加。楽しみー。なのに朝から聴いているのはPolysics。あと髭がなかなか癖になる。それからyoutubeでPVをあさってAPOGEEの映像を見る。音楽単体ではそれほど聴かないけれど映像と合わせて見ると楽しい。こういう、ポップなんだけど奇妙で、ある種脳内のお花畑的な映像が作れるというのは凄いなあ。こんな感じ↓
http://www.youtube.com/watch?v=PF2_hFRlw6M
http://www.youtube.com/watch?v=CCXYS7gyx2c

syrup16gのライブ日程詳細が出る。大阪は4/19にクラブクアトロで。だけど4月が迫ってくるという事実どころか4月という文字だけでも不安になる。どうなるんだろうな今年の春は。

++++++++++

行ってきました。しょっぱなから「極彩」「嘆きの鐘」「スイミン」と盛り上がって更に「絶望」ときた瞬間に、感無量すぎて死ねる…!と思いました(しかもその次が「キンセンカ」だとは)。やーよかった…というか予想以上に楽しかった。避けていたメロコア系の曲(謡声とか名も無き夢とかの)が生で聴くと素直に良かったのが収穫。あんまり楽しいものを見ると現実がいっそう嫌になって落ち込む癖(ほとんど習慣と化している)が辛いし呆れますが、前向きに「夕紅」(これも今までは聴かなかったけど見方が変わった)聴いて気分を盛り上げている最中。また感想書こう。
Dir en grey CD フリーウィル 2007/02/07 ¥3,675

アルバム「Vulgar」「Withering to death.」のミクスチャー・モダンヘヴィネス・ハードコア系の流れやさまざまな試みを経て、今作ではメロディもかなり排除しメタルコア一辺倒というかメタル要素かなり強めに移行。何度かリピートしているうちに耳に馴染んではきたけれど、初聴きの時の感想は変らず、要はこれをわざわざ選び取って聴くのなら海外のテクニックのあるバンドを聴くよと。メタルって何聴いても似たり寄ったりな私の耳には、突然匿名的な音へと近付いた印象がした。今作からは今後テクニック志向のバンドとして進んで行きたい気概が伺えたのだけど、ずば抜けて技術のある人の集団というわけでもないし…とは失礼な言い方だけど、個人的にはテク崇拝の音楽って割と退屈なので、それよりも彼らにはこれまですぐれたアイディアや美意識があったと思う(初期の楽曲は確かに演奏がしょぼいものもあるが「ASH」なんかはかっこよかったし(ビデオ「楓」に収録されたバージョンが良いな)、変態性全開な「脈」には度肝を抜かれたし)。

前作の、メロウなメロディ部分と畳み掛けるシャウト、「孤独に死す〜」に見られるようなボーカルとコーラスの絶妙な迫力ある掛け合いには有機的な流れや陰影のあるバランス感を感じられたのが、今作にはあまり引き継がれていない事が意外だった。それに「dead tree」のイントロのギターリフやベースのメロウなフレーズにはじまり、サビで悲痛な絶叫で打ち破るという緊迫感ある対比にも息を飲んだ事が思い出されるのに、そういうフックの効いた構成力が(曲単体としてもアルバム全体の流れとしても)失われている感じは否めない。
気になったのはギターで、二人ともリズムを刻む方へ回ってしまっていてツインギターの特色がほとんど生かされていない気がした。「GRIEF」中盤に登場する土俗的なリズムは耳に留まったものの、よく聴いたらドラムとコーラスのおかげだったし。音色は鋭利でミドルテンポの重たいギターリフが頻出するのだが、その割には音が軽いしシンプルであまり練られていないフレーズで全編押し切っている印象を、素人の耳には受けた。プレイヤー目線で聴けば実は凄い事をやっていたりするんだろうか。
ボーカルは、ハウリングのような金切り声、押し殺したように歌われる低音、畳み掛けるデス声という風に色々と工夫してありとても攻撃的だけど(「GRIEF」の中盤の「わうわうわう」みたいな囁き声は昔を髣髴とさせてツボ)、以前よりもかなりシャウトに比重が寄っている。「THE PLEDGE」あたりは哀切なメロディーも叫びに近い高音もきれいに歌えていて印象的ではあるものの(楽曲としてもこれが一番好み)、ますますライブで自分を追い詰めそうだなあこれ、というキー設定は無理しすぎじゃないかと…。

気にかかっていた「CLEVER SLEAZOID」は新録で(シングルは全て新録)、ラフな感じも含めてうまいことラストにおさまっていたのがおっ!と喜ばしかった(が、それは構成面から見て全体から浮いていないという意味においてで、純粋に演奏を見ればシングルの方がかっちりしていてメリハリもあって良かったような。専門的な事はわからないがどことなく全パートがべたっとしている(ミックスの関係?)。「The dark〜」部分のギターのフレーズも悲痛さを煽っていて良かったのが若干変更されている)。

例えばラウドパークではごく一部の熱心なメタルファンは元(今も?)ビジュアル系というバックボーンだけでも彼らを偏見の目でまなざしたと、ネット上で流し読みした幾つかのライブレポでは言われていて、彼らがビジュアル系という括りからスタートした背景をもっているのは必ずしも枷とはならないと考えているのだけど(まあ確かにシーン全体としては豊かとは言い難いけれど)、広い世界では色々あるのね…と憮然とした印象をもって今作に臨んだせいか、その偏った印象をそのまま音の後ろにも読み取ってしまった(さすがに勝手な事言ってますね、でも本当に海外進出の影が残念な形で色濃く落とされていると個人的には思う)。実際のところはポジティブに感化されてきたのだとは思うけど。
うーん、個人的にはシングルで言えば「朔-saku-」がピークかなあ。あんなマッドで構成もすぐれた濃い曲はもう出てこないかな。メロディーの際立った曲やもっと展開の練られた楽曲に彼らの良さが発揮されているだけに、少し残念。彼らに対しては思い入れや期待が強すぎるだけに(久々にフライングゲットしたCDだし)、くどくどと文句ばかり書いてしまった。建設的な事のひとつも書けたらいいんだけど。でも何だかんだで聴いている。

おっ

2006年12月11日 音楽
ふらっと覗いたらツアー日程発表されてましたよ!
公式より

>Syrup16g TOUR

>2007年4月08日(日) TOKYO
>2007年4月11日(火) SENDAI
>2007年4月19日(木) OSAKA
>2007年4月20日(金) NAGOYA

いやいや、大まかすぎ!とツッコミを入れたくなったけれど、関東以外は久々だなー。ずっと先だけど、これは行くしか。
まずは物凄く不確かなセットリスト(本編に関しては覚えていないので大体の位置に配慮しつつ順不同)

本編
イロゴト/内臓マイク/本日は晴天なり/37℃/センチメントマシーン/cage for rent/サンデー/ロケット/ピカソごっこ/puppet talk/メランコリック/冬の海は遊泳禁止で
(抜けてるかも。「クローゼットチャイルド」をやった記憶があるのだけど、現在12/4なので思い出せない)

en.1
バリア/ヘイト・レッド、ディップ・イット

en.2
アブストラクト マイ ライフ/Ghost/エンジェルダスト

■8/22のライブレポを読み返して、感じた事が前回とほとんど変わっていないのに憮然となる。相変わらず「37℃」ではギターが、柔らかい陽の光のようなシーケンスのパターンにそぐわない、びよんびよんと金属的な響き全開だったし。この人のギターは好きなんだけどそれだけは受け付けない。
■静かで落ち着いた一曲目でそろそろと幕があがり二曲目にアグレッシブな楽曲で爆発、中盤にゆったり聴かせるパターンが多く、今回もそのような構成だったかな。
■「ロケット」「冬の〜」なんて意外な楽曲が。だけど「冬の〜」で本編をシメるのはピンとこなかった。わいわい楽しめるというか、ライブでやって幸せ度の高いノリが出現するのは「シロクロニクル」の楽曲に多いのではないかと私は思ってるのだけど、私の期待(ナショナルキッド・星座づくり・秘密のカーニバル)はことごとく外れてサンデーとピカソごっこ。「サンデー」は数年前のライブでの演奏の方が綺麗だったかな。そういう個人的な事情も含めて、楽曲の選択にいまひとつ食いつけないままアンコールを迎える。
■「puppet talk」「ヘイトレッド〜」であんなに煽るとは予想していなかった。えーそうなのかなあ…と一人置いていかれる。
■二回目アンコールのアグレッシブなノリに「よっしゃあ!どんどんこい!」と思うもそれに反してライブは終わりで肩透かしくらった気分に。超定番の「サイコガーデン」まだやってないよ!みたいな。定番だからこそあえて外してみたのでしょうか。

■ぶっち君のブログが終演の約二時間後にはアップされていて、その速さに驚くのだけど、「今回は手数を多くしてみた」的なコメントを目に留め「多くなくていいのに…」と内心文句を垂れる私。プラトゥリはドラムは手数少な目でいいバンドだという思い込みから抜けられない。
■何だか不満ばかりなので次回は環境を変えてみようと思います。といってもライブを見に行きたいミュージシャンってそんなにないなあ。
■そういえば年末ライブの告知の際に「C.C.Lemonホール」(旧・渋谷公会堂)というネーミングに思い切り苦笑していたな太朗…。
■あと、BIG CATの造りのせいなのかいかにも混みそうな場所で物販をやるのが悪いせいなのか、終演後はなかなか会場から出られずロッカーや物販コーナー周辺が最前列並の混み具合で死にかけました。もうちょっと考えて欲しいです、あれ。

動脈

2006年11月4日 音楽
Syrup16g CD インディペンデントレーベル 2006/08/23 ¥2,625

ベスト盤。ようやく借りる。
「She was beautiful」の位置なども許せないし、他のアルバムには未収録の「You Say ’No’ 」だけを目当てでこれを聴いたのだけど、この楽曲自体にはさほど特筆するような何かは感じられないように思う。この虚脱したような歌詞とメロディーから推すと、これは最近できたものなのだろうか。それにしても、たくさんの歌がまるで走馬灯のように浮かんでは消えるようで(我ながら月並みな言い方ですが)「追悼」の文字を思わせ、その上ラストに配された上記の楽曲なんかを聴いてさらに、ああ五十嵐氏は死ぬのかなあと結構本気で思ってしまいました。ええ、それが言いたかっただけです。縁起でもない!

私はあらゆる意味において、まだまだ死ぬには遠く及ばない気がする。

ギャンブル

2006年10月13日 音楽
灰になれば皆喜びましょう
愛していたよ
軽率だね                                                                                             
                   
か弱い独裁政治
住人は君一人


最近集中的にカリガリが聴きたくなる日があるんですが、近所の幼稚園が運動会の練習をしているようで延々大音量で「修二と彰」が乱入してくるのには参ります。

モノクローム

2006年9月24日 音楽
オセロケッツ CD ソニーミュージックエンタテインメント 1999/11/03 ¥1,223

このバンドに関しては全然詳しくないけれど、この曲だけラジオか何かで一回聴いて何となく心に引っかかっていた。サビ前のベースのコード進行が少しでこぼこと目立っていて気持ち悪いのが気になるけど、抑え目のメロディーが秋の終わり頃のくすんだ雰囲気を感じさせて、最近妙にリピートしてしまう。こういう、いかにも「日本のロック」って感じの音楽は嫌いじゃない。
後半のストリングスが絡んでくるあたりからがもっといい。

ナイルの一滴

2006年9月12日 音楽
矢野絢子 CD ユニバーサル・シグマ 2004/10/13 ¥3,059

ピアノとボーカルというたった二つのパート中心に構成されている、とても力強くてしなやかで少し頑なさのある、美しい音楽。この美しいというのは春夏秋冬の自然の風景を見るときの感じに似ている。老成しているような、または逆に少年のような表情を浮かべた歌声はぴっと芯が通っていて、物語性すら感じられる。
切迫したメロディーの「ゼンマイ仕掛け」が今のところ私の中では一番ヒット。「パパッパパパッパッパ」という発音が閃光のようで、とても効いている。
バックホーンの写真なんですけど
この右から二人目って誰?
栄純ってこんな顔だっけ??
と思って昔のロッキンオンを引っ張り出したけどピンとこず。それどころか五十嵐二万字インタビューを読みふけってしまい、やっぱり眠れない昨日の深夜二時でした。

仕事後携帯を開くと実家からの着歴があって、まためんどくさい事を言われるのかと思ったら、再三話題にのぼった妹のフランス留学への決意がどうやら相当固いらしいという話でした。4年生になる来年に渡仏を決行するというのも何だか、先行きに保険かけまくりでないと落ち着かない(の割にはこんな現状ですが)私からすれば随分思い切った話であるように思えるのだけど、何より我が家がそれにゴーサインを出した事に驚いた。衝突を避け、どうせあかんやろと先に自ら進路を断つ私のこれまでのやり方が反省された。熱意にかけてみるべきだったんだなあ。
何か楽しい話題はない?と近況を尋ねられるけど何にも思い浮かばず。ダイナマイト関西を見て夜更かししたり鶏手羽を煮たのが凄く美味しかったり。彼は今度はO市を受験します。CDを色々借りました。ポリシックス、マッドカプセルマーケッツ、鈴木祥子…。ナイトメアなんてのも借りてみた。最近のビジュアル系を発掘してみたいけど、90年代ビジュアル系の思い出だけでお腹いっぱいでもあり(「ヴィ」ジュアル系と書いた方がいいかどうかいつも迷います。何か言われそうで)。初ライブはラクリマクリスティーだった事はひた隠しにしています。バイト先の後輩と一緒にくどい感じたっぷりにTAKAの物真似とかしたなあ。懐かしいなあ。

丁寧語で書くと何だか座りが悪くて落ち着かない。

Hide and Seek

2006年9月1日 音楽
「とおくでこもりうたがきこえてめをさます/なぜだかゆびのさきがつめたくしびれてる」という箇所に何となく殺伐とした心許ない寂しさを、「やぶけたぬいぐるみがいきなりしゃべりだす/『ほんとうのきみのことをおしえてあげる』って」には他者(?)の無邪気な残忍性を私は感じるのだけど、この曲がある一定の気持ちになると頭の中で自動的に再生される。昨日の夜はこれが頭にこびりついて眠れなくて困って、以下の事を携帯メモに残した。

この時期の「僕」に対しては、夢想しがちでやや自己陶酔的な悲しみを持った、外の世界に怯えやすく逃避的に眠る少年というような(例えばですけど)いくらかは具体的な姿が思い描けるのだけど、時を経ることで少年の残骸を脱ぎ捨てていくだけならまだ良かったのに、その「僕」が時間とともに幼年の感覚をひとまず脇に置くようになって、記号的でありふれていてそして抽象的である存在の内部へとどまろうと変化しつつあるのは、私にはほんの少しだけ惜しい気持ちがします。あーはいはい懐古主義懐古主義。まったく。音の面で言えば当然中〜後期のほうが良いんですけど。
でもこの頃の音にはまるで古びたフィルムのような、または廃墟となった学校の壁や床の手触りのようなざらつきがあって、楽曲によっては偶然にもいい効果となっていると思う。「割れた窓」とか。あれがデビュー曲だったというのは今になっても意図がよくわからないのだけど、ある種の気負いの表れなのでしょうか。あの帯のキャッチコピーは、ナシだよなあ。…そんな事を三時半まで考えていたらようやく寝られた。

全然関係ないけど今日は仕事帰りに買った鯖の西京味噌漬けを焼いていたらこげこげになってしまってギャー!と思い、実際にギャー!と口に出してしまいました。
Plastic Treeライブ at なんばハッチ
これを書いているのは実は9月15日で、メモだけとってそれをちゃんとした文章に直すのを放棄していたのでした。書かずにはいられない衝動に見舞われるようなベストアクトというのがあるけれど、今回のライブはそれとはかなり隔たっていて、という事は同時に物凄く悪かったわけでもなく、アンコールなどでの煽りすらも手馴れた手つきの内に平熱的に組み込まれて消化されていくかのような…つまり普通な、そして「生」の良さに少し欠けるライブだったということ。「Ghost」の最後の方で機材トラブルがあってそれでも相変わらずのんびりゆるい雰囲気は崩れなくて、そういう所に触れるとほっとしますが。去年末の代々木体育館の映像を見て(「サーカス」の深遠さ!)うおー…と深く感動したので、まだ期待はしています。というか多分付かず離れずの状態で聴き続けるものと思います。
私としては、全体的にどんどん鋭利に攻めてくる音になってきているので、もう少しウェットな感じも思い出して取り入れて欲しいなーというところ。

照明についていくつか書くとすると、金(夕焼けを思わせる)や銀などのシンプルなのが映えるなと思った。黒い幕をバックにして両端に束ねた赤い幕があるのが、その照明の加減でたまに緑と赤、紺と赤にも見えたりしたのが綺麗だった。あとは「賛美歌」ギターソロ後に一瞬水色の光の中にステージが揺らめいてみえたのに見とれた。逆にあまりポップな色合いの照明って似合わない気がする。
その他では「賛美歌」〜「メランコリック」の流れが個人的には盛り上がりピーク。「メランコリック」は若干歌がぎこちない感じもあったけれど、各パートが嵐のようにせめぎあっていてライブのダイナミズムみたいなものを最も感じられた一曲だったと思う。今回はボーカルにほとんどブレがなくてびっくりした。「cage〜」で滅茶苦茶崩れたけどすぐに立て直していたし(同時に「おおっ」という瞬間にもほとんど立ち会えなかったという事でもあるけど)。アンコールの「ヘイト〜」で太朗、真っ赤な着物を独特の着方をして登場。数年前のFCイベントで着ていたものと同じのはず。後で調べたら海外で着たそうで、その流れで今回のツアーでも披露したのだろうか。それでなければ唐突だなーと思ったので。

うろおぼえセットリスト
1.crackpot
2.内臓マイク
3.ナミダドロップ
4.名前のない花
5.賛美歌
6.メランコリック
7.37℃(唯一ギターがシーケンスに全然馴染んでなくて雰囲気ぶち壊しで泣けた…)
8.cage for rent
9.空中ブランコ(え、もう使っちゃうの?と驚く)
10.ナショナルキッド(楽しげにノレる。この辺から一気に畳み掛ける)
11.センチメントマシーン
12.ダンスマカブラ
13.puppet talk
14.怪物くん
15.Ghost
16.夢の島(海外でやって個人的に凄く良かったそう)

en.1
17.本日は晴天なり(相変わらずfreedomの発音が「ふりーどーん」…)
18.ラストワルツ

en.2
19. ヘイト・レッド、ディップ・イット(ハローハローの所でラッパーの人みたいな変なノリで左右に揺れる太朗)
20.サイコガーデン

白日

2006年8月18日 音楽
GRAPEVINE CD ポニーキャニオン 1998/09/02 ¥1,020

何故夏にはどこか享楽的で爽やかさを前面に出した音楽が増えるんだろう、と夏を嫌いインドア派だった私はよく軽い反発を覚えていたもので、その反動でかこのねっとりした楽曲を夏の歌として推したい一心だったような。渋いギターのイントロから始まり、メロディーの入り組み具合や隙間なく注がれ接がれる言葉がまるで密閉された不快な無風の空間(室内)を思わせ、夏嫌いの私にはここにこそ夏が体現されている!と感動に似た気持ちを味わったような気がする。
ねちっこいボーカルラインにまとわりつくギターのフレーズには、苛烈な陽射し、汗で背中に貼りつくTシャツの鬱陶しさ、ねっとりと息詰まる湿気高い空気がまざまざと思いだされた。どう抵抗しても一向に呼吸しやすくならなさそうな、あのむっとした空気がそのままある。「白日」というタイトルそのままの白んだ光ではなく、かえって真っ黒なネガフィルムのような風景が浮かぶ。「白日の下に晒す」という言葉がセットで思い出されるせいだろうか。ここで使われる白日という言葉には私は無表情で暴力的な響きを感じ取ってしまうのだった。

そんなふうな事をずっと前に書いてから、少しは夏が好きになったかなと思えばやはりそれは期待はずれで、私も巷にあふれるサマーソングやそこについてくる雰囲気を、そんなにひねくれないで、ただ弛緩しきって多幸感でいっぱいの表情でも浮かべつつ享受してみたいような(したほうがいいような)気も、何となくする。

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繭

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