DVD ポニーキャニオン 2005/10/19 ¥4,179

松尾さんが好きで借りてきたけど、かなり笑えた。特に、やたら下半身裸にさせられたり「エレクトマン」呼ばわりされたりと散々なオダギリジョーの姿が、松尾スズキのあの独特の奔放な笑いのリズムとあいまって、病に翻弄される本人には深刻な状況のはずなのにこれも笑ってしまう。
原作では患者ごとの一話完結型にしてあるけど、各物語が同時進行するという映画版の構成も良かった。ラストの田辺誠一のシーンも青が爽やかで、次へ続くかのような余韻を残してあって好きだ。

追って原作を読み進めているところで、映画で言うとちょうどオダギリジョーの部分にあたる話を読み終わった。が、そのタイトルがタイトルなので人前で本を開くのはとてもためらわれました。
物凄く大雑把に言うと、全く血の繋がらない三人の男女が既成の形式にとらわれない、新しい家族という場を作ろうとする映画なんですが(合ってますかね?妥当かなこんな説明で)、これがもう好きで好きで。画面にある温度が心地良くて、映画館で一回、レンタルで三回見ているし、今後も見る気がする。あまり同じ映画を複数回見る事はないのだが。

人が生きていく事に大きく関わるテーマを、時に笑いを交えつつ軽妙に時にしみじみと描いていく手法と演技の自然さ、それぞれが抱える悲しみや寂しさなどの思いの複雑さをこちらに感じさせ想像させる丁寧な作りにすんなり引き込まれる。生々しくも温かい現実の匂いと手触り。それは美しいものばかりではないがだからこそ訴えかけるものがあると思う。「誰かと一緒にいる嬉しさ」という事を素直に感じられる、物凄く好きな作品です。周囲との関わりを通じて傷つき悩みながら作り上げる新しい家族という場は、強くてしなやかなものだと思う。
最後の方に勝博(田辺誠一)が泣く場面があるんですが、しみじみと三人の思いが伝わってくる場面で、好きです。じっと見入ってしまう。

人との関係とは、色々と必要以上に入り組みすぎていてその中で磨り減り自嘲し諦めの一途を辿るだけが全てだろうと(この歳で何を知っているわけでもないくせに)思い込んでしまうのだが、そうではなくて傷付けあう時もあるがもっとシンプルに喜べたり共有できたりもするものではなかっただろうかと、少し思い返してみたくなる。
私に何度もこの映画を見させてしまうのは自分の根っこにある憧れなのだと思い、その度この映画には希望を与えられる。


でついつい自分は自分の通ってきた(または現在の)人間関係をどうとらえるのか、どうありたいのかに考えが及んでしまう。
結局自分を追い詰めたものは他人ではなく、自分自身の妄想だったのではないかと考えるわけで、またそう考えるのが一番収まりが良いと感じる。こっちに来て三年と少しで多少は自分を客観視できるようになり色々な問題もある程度収束しそうに思えてきたが、しかし何かが大きく欠けたままここまで来たという思いも心の底にしつこくこびりついているわけで、それをどうにかするにはやっぱり人との関係に帰っていくしかないのではないか?などと。

卒論に選んだテーマも家族が絡んでくるもので、取り上げる予定の作品では最終的に個々人が再生していくわけでそういうものを選びたい心境になっているのだが、それにしてもお前執着しすぎって気もしますなあ。ともかく自分だから書けるものも何かないかなーと現在考え中。実のあるものにしたいという欲はある。
自分の問題にケリをつけるには相手にその責任を取れと迫るのではなく、自分の手で模索するしかないんだろうなと。そんな風に最近思う。
にしても本当、しつこいねえ自分。呆れなくもない。大げさじゃねえのかと。
http://www.fuyunohi.com/
前にも貼ったのでしつこくて恐縮ですが公式サイト。松尾芭蕉『冬の日』の連句をアニメーションでやるという試み。しかしこうして公式をチェックしている割に各句の意味を全く頭に入れてなかった事に遅まきながら後悔する。ちゃんと勉強しておけばもっと楽しめたはずなのに。それを考えるのに必死で、各作家がどういう解釈で臨んだのかを読み取るのに頭が回りきらなかった。

で感想としてはアマゾンのカスタマーレビューの人の言っている事が何となくわかるというか。不勉強な私に言われても腹が立つ以外の何物でもないとは思うけど、知識なしで見ても中には「そのまんまじゃん!」と言いたくなるような、俳句の言葉をそのまま映像に置き換えただけというような作品もあって、折角のアニメーションという手法を活かしきれていない勿体無さを感じてしまった。
でも基本的には粘土やガラス板、人形、手描き風、墨絵風など多様な表現が楽しめて良かったです。凄く綺麗だったり大胆だったりとどれもその人なりの方法や解釈が短い時間の中で発揮されています。
個人的にはユーモラスさを含ませたものが心に残りました。その点で高畑勲さんの映像が良かったかな。各作家の方についても本当に恐ろしく無知なわけですが、川本喜八郎さんのは確かに良かったですねえ…画面がぐっと豊かになるというか、奥深さを感じた。上手い表現ができませんが。
あとは何が何でも日本風に!というよりも、各国の文化のフィルターを通した解釈がされているものも面白かったです。と言いながらあの影絵のって絶対日本人作だと思ったのでこの後驚いたわけですが。

本編の後に解説やインタビューがあって、制作風景も覗けました…が、もしかしたら本編より長いんじゃないかというくらいで。あれに退屈した人もいそうだなあ(私も実は見終わった後ちょっとしんどかったです)。映像作家や芭蕉に思い入れがなく、単に面白い映像を見て刺激を得ようとした人なんかだと(というかそれ自分)。漠然と楽しむというよりは勉強した感じが残りましたよ。そのせいか文化庁という文字も気になったし。
ただ連句の序破急の流れをアニメーションを作る上でもちゃんと意識して取り組んだ方の話だとか、なるほどーと思う部分も多かったですし、解説ありはやっぱり助かった。製作過程には「そうやって撮ってたんだ!」などとも驚いたし。凄いなあ…。
で、「けふは妹の眉描きに行き」の妹ってそのままsisterの意味で取るんですね。おぼろげな記憶で「違う」と思い込んでいたので…。それはもっと前の時代の話か。

ちょっと根詰めて見すぎたかも。何でこれがこうなるんだろう?とか。本当に映像は素晴らしいので純粋に楽しもうという見方をしても良いと思います。
しかしあの距離なら電車使って行けばいいのに。だから足に変な筋肉つくんだ…しかもああして寒い中をうろうろするから風邪っぽくなるんじゃないか自分。

ショックだった事。東一条の会館(ここと提携しているのかな確か)で12月から1月にかけて寺山修司を上映していたとか…うわーそっちの会館まではチェックしてなかった…。ビデオ買うと結構するんだよ…。
ともかくあと一つはまだ見られるそうだし、今月にこっちの映画館でも二つやってくれるそうなのでそれは逃さないようにします。とほほ。
ポスター展示するんだ…販売しないかなあと期待してみる。
駄目なら写メール撮っていいかなあ…結局あまり出番のない写メールを。何らかの形で残しておきたいんだよなあ。
繭

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