入居時からBS2の入る環境だったという彼の家で、バックホーンの野外ライブ放送を見る。2ちゃんの実況スレに手が伸びたのはなりゆきだったのだけど、住民のツッコミが面白かった。ビデオ録画している安心感からかなりぼーっと見ていたので、さしあたっての軽い感想を箇条書きで。



・メンバーの回想やファンのメッセージなどを挟みながら展開されていたせいか全体に漂う微妙な温度。「メンタルヘルス番組にされてる」「NHKは彼らをどういう位置づけにしたいんだ」的レスが出てきて笑える。
・「音楽番組と見せかけた精神的ブラクラ」にはちょっと同意。栄純の描いた病んだ漫画やら自作の映像やら…。彼氏の「この人やばいよ」にはとっても同意。
・「サニー」かっこいい!なのにライブ以外の部分は痛いのとシリアスとの紙一重。
・「栄純の精神的回復とともに…」というナレーション。そんな扱いに笑った。NHK的にこの企画の主軸はそれか。夜中に自殺サイトを見て落ち着く栄純というエピソードを思い出した。
・でも「コバルトブルー」のイントロギターの弾きっぷりはまじで凄い。
・山田さんは相変わらずまるで痙攣したみたいに野性的に踊り狂っていて時々かっこよかった。
・「サーカス」みたいな古い曲をまだやってるんだ〜と感心。そういうの良いな。
・「もりもりパワー」って!岡峰さんまで何言ってんの(笑)
・番組最後に突如挿入された「ねえ栄純、バックホーンは何が一番変わった?」というナレーションには…ちょっと萎えた。いきなり親密に呼びかけてみせるなんて一体。

多分私が一番熱心に没頭していた頃の彼らと現在の彼らとの間には、屈託なく「進化」と言い切れないズレがあるように個人的には思う。自らの内側の混沌を熟成期間なしに撒き散らしてくるようなスタイル(というほど取り澄ましてはいないけど)には、彼らってこんな十代向けみたいな音楽をやっている人達だったっけ?という印象を受けた。それでも切迫した歌い手の表情のせいなのか何なのか、目を離せないエネルギーをひしひしと感じるのは確かで。

ともかく栄純メインの構成となっておりました。何だったんだろう一体。「ねえ栄純」はねえよ勘弁して。あそこだけプチゲリラにあった気分でした。
Polysics CD Tofu 2006/02/21 ¥1,712

大阪に面接に出かけた彼のかわりに、京都府庁の二次面接の結果を見に行ったけれど、駄目だったよー…ショック!何度も掲示板を見るが数字が変わるわけもなく。ビジョンもしっかり持っていたみたいだし、私も「いける!」と根拠もなく思っていたのだけど。彼にはやりたいことあったのになあ。
実は私の方ががっかりしているのかもしれない。私が大学受験を控えた頃の母の心境ってまさにこんな感じ?と思った。相手を自分の延長としてしかとらえられないというか。頑張ったのは彼であり、受かろうが落ちようが私に何らかの評価を加えるものでもないのに、正直僅かながら曲がった受け止めかたをするところがある、私には。

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polysics聴いて弾けたい。ハイテンションピコピコテクノパンク。「シーラカンス イズ アンドロイド」「Black Out Fall Out」「Electric Surfin’ Go Go」のPVをしつこく視聴。

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そろそろ蓮も咲き始めたらしい勧修寺に出かけたい。あとは鴨川で花火。今日ようやく来月の勤務表が出るだろうから都合がつけば宇治川の花火大会も見たいかも。でも人手が凄いからなあ。

シャンデリア

2006年7月18日 音楽
PlasticTree CD ユニバーサルJ 2006/06/28 ¥3,500

通常盤よりはこの初回盤ジャケットの方が好きなのだけど、公式サイトで流れているインストってもしかしたら「六月の雨(雨降りmix)」か?と気付いて通常盤への未練が急に強まる。ああいうポップでピカピカした人工的な手触りの音ばかりのアルバムを作って欲しいと思っていたくらいだから。アキラ(g)のミックスなんだっけ?しまったなあ。最近、昔のようなギターらしからぬ音のギターを聴きたいと思っているところ。

そういう私個人の思惑とは反して、最新アルバムはギターロック色のよりはっきり打ち出された仕上がりになっている。そのためか一周目は結構「フーン」って感じで割と適当に聞き流していたのだけど、リピートするごとに少しずつ各楽曲ごとの顔が見えてきて、これはこれでという感じ。一曲目「ヘイト・レッド〜」のエコーのかかったボーカルとギターリフ部分、「puppet talk」のノイズにまみれたギターのかっこよさ。アキラの書く歌詞には竜太朗がしないような言い回しが散見されて、ドライで皮肉っぽさがあるのが楽曲に新鮮味を与えているような。「37℃」はアコースティックギターと歌われ方が穏やかで柔らかく、彼らの持ち味が発揮されている一曲だし、何と言っても「空中ブランコ」の緻密な構成と静かなドラマティックさにはぐっと引き寄せられた。
安定して鳴らされる低音が隙間なく網の目のように敷き詰められて、その上に浮遊感のあるボーカルが乗っている構図が映像的でほんとうに奥深く、彼らの王道とも言える雰囲気がある。この一曲だけでもアルバム一枚分くらいのドラマを感じると言いたくなったほど私の中ではヒット。ラストから二番目という位置に置かれることによってシングル単体で聴くのとはまた違った響きを付加されている。

と言いながらも例えばこの前「Puppet Show」について触れた時ほど力を入れて書けないのは、やっぱり物足りなかったからだろうか。この前調子の悪い時に聴いていてふと思い至ったのだけど、ポップスあるいはロックとしては良質で演奏も昔のようなぼやけたラインを整えるようにしていて研ぎ澄まされてはいるのだけど、このアルバムにはざわざわする感じだとか未知のものに触れる時の感じや生々しさなんかが抜け落ちて聴こえるから、そういうものを、意思の手の届かない範疇に存在するマジックを求める私にはぴんとこなかったのかもしれない。でもそれが「上手くなる」という事なのかなあ。何と言うか、削ぎ落とされたものとは?と目の前にないものの方へと私はかえって思いを及ばせてしまうのでした。失礼な行いとはわかっているのだけど。

ともあれ、以前の世界観よりもわかりやすいものへと変化し、外に発信しようとする姿勢がそなわってきているのは事実だし、その事実にないものねだり的な思いを付け加えてこれ以上口にするのはきりがなく無用なのだろうなと思った。彼らの地道に積み重ねてきたものを身勝手に損なう振る舞いでしかない(いや、もはや損なわれもしないかもしれない)。ツアーの日本追加公演が決まりましたね。ヨーロッパライブの様子も雑誌等で知りたく思います。メキシコライブは残念ながら急遽中止となったらしいですが。
syrup16gの二年ぶりの新譜が8/23に発売されるとか。それも二枚同時発売だとか。タイトルが「動脈」「静脈」(各2625円)でインディーズ扱いだとか。
といっても公式サイトにもタワレコサイトにもどこにもまだ正式には載っていなくて、ソースがレコード屋の人のやっているブログのみの上急すぎるのでまだ心置きなく喜べるという感じではない。でも雰囲気的に嘘を書いている感じはしないし、ともかくはやった!!!と大喜び。
とりあえず「STAR SLAVE」をきちんと聴きたいけれど、収録されるのだろうか。
朝起きて何となくhttp://www.last.fm/user/sonic-disorder/を開いたらデザインが丸きり変わっていた。なんだこりゃ!でもかっこいかも。バンドの写真が出るのがいいですな。上の方にスイッチついていたりもして。
さて仕事。寝る前になんとか残骸(着付けの)は片付けたものの、昨日の疲れを引きずってやれやれ。

National P

2006年7月13日 音楽
POLYSICS CD KRE 2003/10/29 ¥3,059

最近「がんばれミリンダ」が頭の中をぐるぐるしている。てれってれってってってってーというポップなシンセにキュートで無機質なボーカル、コミカルでちょっと馬鹿っぽい展開、歌詞を含め全体に漂うナンセンスな雰囲気。この「馬鹿っぽさ」というのがポリシックスにおいては結構大事なことなのかしらなどと思う。
あと、「SCHIZOID VOW!!」というタイトルが何故かとてもツボです。あともうひとつ、彼らのPVのセンスが好き。「Electric Surfin’ Go Go」とか、素敵です。

Dir en greyの

2006年7月13日 音楽
7/26発売のシングルのPVが「BARKS」というサイトで公開されています。
http://www.barks.jp/watch/?id=1000015233
8/31までの期間限定公開とのことだけど何となく音が聴き取りづらいので、YouTubeですでに大量にアップされている方を視聴しそう。
前作「CLEVER SLEAZOID」とは一転してメロディー寄りのミディアムテンポの楽曲。とはいえPVだけでは雰囲気だけしかつかめず、判然としない部分もあるのでちゃんと発売されてからしっかり聴きたい。ちょっとどうなのという感じのタイトルに関しても。シングルには今回もライブ音源三曲が併録。

と、気まぐれで音楽速報的なことをやってみました。

是空

2006年7月8日 音楽
ムック CD ユニバーサルミュージック 2003/09/03 ¥3,990

最近とことんゴリゴリしたハードな音楽が聴きたいのでかなりのへヴィーローテーション中。ムックでは『朽木の灯』『鵬翼』もよく聴くけど、一枚通して丸ごとハードなわりにこれが何故か聴きやすい。
導入部からジャズ風の「1979」や、一方では「蘭鋳」みたいなばりばりのハードコアもあり、サビに差し掛かると昭和歌謡に通じる哀切なメロディーが差し込まれたりして、一貫したトーンはありながらもメリハリがあるので割と飽きずに聴き通せる。どれも音が密にみっしり詰まっているのが彼らの、中でもこのアルバムの特徴。ジャキジャキゴリゴリと金属的に鳴るベースがツボでした。

朗々として時々引き攣れたような歌い方になるボーカルによって、万能感と空虚感との間の不安定な揺らぎや、自意識に端を発した欠落感や内向・苦悩・抵抗が激しく吐露されるが、吐かれた言葉だけを客観的に見ればそれはどこか形式的にとどまっている(悪く言えばヴィジュアル系にありがちな感じ)。
「商業思想狂〜」はタイトル通りの歌詞に関してだけなら何だか幼いとしか言えないけど、豪雨のように叩きつける容赦ない演奏に乗っているおかげで様になっておりある種の感動さえ生まれている気がする。どうせならこのくらい堂々とぶっ放してくれるとすがすがしい。語るための土台がしっかりと骨太に固められていて、言葉よりも音の方により説得力を感じるなあという印象。

そういや私は「サニー」を出した前後のバックホーンが好きなのだけど、「死して魂」には初期バックホーンに通じるものを感じる。声を枯らして叫ばれる情念はタールのように重たくうねり、サビに繋がる部分からラストに向けての疾走は迫力大。
あと、歌詞カードの空がきれい。
Plastic Tree CD ワーナーミュージック・ジャパン 1998/08/26 ¥3,059

私ひとりの中でのプラトゥリブームは不定期に訪れる。今回のブームは、この前のGW間に実家に帰省して以来続いている。
テーマや温度が一貫した作品なのだけど、中でもラストに収められた「サーカス」に気持ちが昂揚する理由をできる限り冷静になって考えてみると、少ない音数で作られた余白や空白がとても効果的で活きていることと、これで終わりですよという雰囲気を明白に保ちつつも、聞き手をそのわかりやすさからくる安堵感に包んであげようとせずに寧ろおいてきぼりにしていくところかもしれない。むやみに大円団的な飾り付けをしないのが素敵だと思う。
夢心地なものとそれが去った後の寂しさとの落差がサーカスというタイトルにまさにふさわしく表現されているし、または見当外れかもしれない言い方をすると、赤裸々に叩きつけられたいろいろな感情をさえあなたは見世物的にでも眺めたらいい、とすら言いそうな冷えた断絶や閉塞感を(激しい曲調にも関わらず)、このPuppetShowと名付けられたアルバム自体から何となく感じる(個人的な印象でスミマセン。制作時の状況の話を思い出すからかもしれない)。

言葉と同じくらい音が映像を描写する力をもっとも持っているのもこのアルバムではないかと思う。7分半ある「幻燈機械」はゆるくうねるドラムとストリングスと点々と鳴らされるギターとが茫洋とした風景のようだし、攻撃的・アップテンポな楽曲でもどこか憂鬱な翳りが寄り添っていて、その風景や風景の中心にぼんやり映し出された誰かの表情が、私の中の寂しさのツボに響いてきてヒリヒリする。
このアルバムにはDiaryNoteがブログに切り替わった頃にここで一度感想を書いたし、それ以前にも色々と感想を書いたことがある。そんなふうに何度も言及したくなるくらい思い入れがある。自分の中に閉じこもった時期に聴いた音楽って何だか特別で、このアルバムは私が死んだら一緒に焼いて欲しいほどかも。十代の頃だけでも通して100回は聴いた気がするし、それほど私の中に染みとおっている。

(余談:それに比べれば「怪物くん」(2004年、「CELL.」収録)の、自らの内向ぶりを客観視できているような、笑い飛ばしても構わないとでも言わんばかりのノリは、特にライブで聴くとさっぱりと小気味良いくらいだけど、言葉と音やメロディーのトーンは乖離していてほしくない派の私でもあるので、複雑な気分でもあり)

明日には新アルバムが店頭に並ぶだろうから楽しみ。「増渕東」ってササブチ(ドラム)の誤植か何かかと思ったらプロデューサーの名前だった。失礼…。

CLEVER SLEAZOID

2006年6月21日 音楽
CLEVER SLEAZOID
Wake up you’re dead
Radiohead CD Capitol 2001/06/05 ¥2,091

透き通ってもいず、都合のよい感傷に転換してとぼけたり明晰な言葉に置き換えたりすることもできない、ぬるぬると貼りつく憂鬱が背中に乗り、その重さが体まるごとを地面の中へ中へ沈めていく。私にとりつく憂鬱は決して甘美で絵になる種類のものではなく、大抵が澄んでいなくて泥臭いもの。

「amnesiac」の音にあらわされた、地面すれすれを這い体を丸めてうずくまるようなしずかな憂鬱に耳を傾けるうちに、少しやりすごせたような気がする。Radioheadが私の音楽鑑賞の中心となることはまずないのだけど、これはいい。重たく立ち込める闇の中から頭をもたげようとする、はっきりした形となる前のなにか。「記憶喪失者」って、いいタイトルだ。

ナミダドロップ

2006年5月16日 音楽
PlasticTree 有村竜太朗 CD ユニバーサルJ 2006/05/10 ¥1,260

ライブで聴いて以来買うべきか…と迷っている。カップリングの「六月の雨」だけ着うたフルで落として済ませようとしている私がいるよ…ビートロックみたいなシンプルすぎるノリについていけないのかもしれない。
と言いながらもPVを視聴していたら、悪くないかもと思い直したり。この人の声があれば何でもいいのかも、私。

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http://seibun.nosv.org/maker.php/plastictree2/

PlasticTree解析機による(本名)の解析結果
(本名)の62%はグルグルまわる惑星で出来ています
(本名)の16%はササブチヒロシで出来ています
(本名)の9%は赤い眼の子供で出来ています
(本名)の8%は飼育箱の僕の世界で出来ています
(本名)の5%はゆるされて眠るような感覚で出来ています

解析他にも二種類くらいあったけど、これが一番いいかなあと。
夜中に何度か目が覚めるのは、以前のような仕事疲れから解放されて睡眠をとる必要がそれほどなくなったせいかもしれないけど、そのお陰で山のように夢を見てわけがわからない。
頭痛が数日前から続いているのも心配。頭痛持ちではあるが、寝ても頭痛薬を飲んでも治らないというところが。病院の薬の副作用?栄養の偏りのせい?など関係なさそうなものも含めて思いつく限りに原因を挙げてみてもしっくりこない。

それにしても仕事、どうしよう。今の職場で一人暮らしできる程度の給料を貰おうとすると、どうしても以前のようなフルタイム勤務に戻らないといけないのだけど、一ヶ月休んでいただけでユニットの様子が前よりも大変になっているせいもあってかモチベーションや思い入れが全く欠けていて、何より完全に復帰すればまた3月の頃のような状態に戻るのは必至だ。でもいつか答えを出さなければならない。
介護職は馬鹿でもできるなんてよく言うよなあ、三大介護だけやってればいいわけじゃないんだよ、などとネットを閲覧しながら毒づく。知った顔でなされる嘲笑など自分から見に行く必要はない、とすぐページを閉じるものの、引っかかるものも感じている。
私の先輩も私も精一杯の事はしているわけだけど、それでも私が将来特養に入りたいかと言えば、やっぱり家の方がいいと思う。私がお婆さんになる頃福祉業界がどうなっているかはわからないけど、職員がこまねずみのように絶えず動き回る職場にあってはあまりに一人でやる事が多すぎて、個人個人の寂しさにまで耳をじっくり傾ける時間はいつでもとれるわけではないから。
嫌だなと思う入居者を見て、多分私もああいう嫌な婆さんになるだろうなという想像にげんなりする。それを阻止するために今のうちに何かできる事があればやらなくては。

++++++++++

Belle&Sebastianのこのアルバムをかけっぱなしにしていると落着く。一曲目の「I Fought in a War」だけ聴きたくなる時も多い。古いフォークのにおいを感じる。奥ゆかしく丁寧なアコースティックギターの音色とピアノと声。鬱々としているのだけど、あたたかい包容力や落着いた佇まいを連想させる。邦題は「わたしの中の悪魔」で、邦題のつけ方って不思議だとつくづく思う。
本やCDの感想が頭の中にもやもやとたまっているので、そのうちちゃんとした文に置き換えたい。
CD 東芝EMI 2003/08/20 ¥1,100

カップリングの「嵐ヶ丘」にどっぷりはまる。ゆるやかなギターのストロークから始まるこの曲の、メロディーの丁寧さや慎ましさが美しくてじわじわ惹かれる。アップテンポの楽曲よりはこういうスローなものの方が彼女の持ち味が存分に出ていて良いと思うのです。

ところでこの人の書く歌詞には、自分で自分を持て余しているさまだとか、「共依存」という関係性が切実に描かれている気がする。それも実感を伴った、痛みや生傷や苦しさを思い起こさせる言葉で。こういう異様な緊迫感をはらんだ言葉は、その渦中に実際に置かれた人だからこそ生み出せるものなのではと思うのだけど、彼女自身もそういう要素を持った人なのだろうか。

そして私は怪獣になった
共犯者はもういない
日常 そのヒステリックな様を
不自由に保つために
だから私は頷かなかった
無傷で過ごせたとしても
奇妙な揺れを待っているの
心を震わせながら

言葉だけ過剰にあらゆる愛へ急ぐのを
まだこんなに許せないから

楽チンな服装で行こうか、もうこの際寝ていようかという気分の落ちようだったものの、いや出かけて気分転換すべきだ!と気合を入れてワンピースとマーチンのブーツを頑張って装うと、結構気分がましになる。そのままライブへ。
普段はセットリスト覚えるのに腐心しながら観るのだけど、今日はその瞬間瞬間に気分を委ねよう、と決める。以下感想をぱらぱらと。

●太朗さん、右手親指?骨折したみたいです。遠目だったのでしばらく包帯かファッション(手袋?と思った)かわからなかった。MC聞いてると、前のライブ会場で折った様子。びっくり…。その手でマイク持っていたけど大丈夫なのですか。
私は何となく下手にふらっと位置する事が多いけど、そのせいか低音が心臓を直撃するほど強すぎて結構しんどかった…。だんだん慣れたけど、限りなく一番後ろに近い場所で観ていたのに何か凄いなあという…良い意味でも悪い意味でも。

●前半は「CELL.」「賛美歌」「メランコリック」「パラノイア」って感じで最近の楽曲メイン。リリース順で言うと私は「賛美歌」は好きだけどその後の流れに全くついていけないのです…。その中で「水彩」はサビに至る流れが結構新しいのでは、とじっくり聴いて思う。語りっぽい歌い方というのも面白いかなあなどと。私としては今後この方向で行くなら(ないと思うけど)それはそれで…みたいな。

●コード進行やギターのエフェクター含め(ソロ部分とか、激しめのアレンジに変わっていたり)、最近の彼らはパワーで押す傾向にあるのかなーと。どっかにこまやかさを残しておいて欲しい…と毎回同じ嘆きばっかりしている私ですが。
今度発売の新曲は、仮に私が内心軽んじているそこらのバンド達がやったら「フーン」としか言えないだろう雰囲気の曲で、退屈と言えば退屈だった。申し訳ないけど…。

●でも「春咲〜」はそれ自体は優れた楽曲なんだなあと心にしみたりも。あとはひたすら轟音地帯の続く中で、あの演奏にあの声質が埋もれないのが凄いなあと、今更思う。アンコールで「sink」やって驚く。

●「May Day」でテンションが上がり「クローゼットチャイルド」「サイコガーデン」では自然と体が跳ねる。「May Day」などの古い曲のリズムやノリは体に馴染んでいるような感じで、喜びを感じながらノれる。四人四様のゆるいMCも私はかなり好きです。そういう部分にはやっぱり楽しくなれるし、色々不平言いつつも終演時にはまた次も通うだろうなあと思ってしまう。

そんなこんなで、気分は上向いたと思う。曲数自体は少なかったような(気のせい?)。アルバム6月発売だそうで、それ聴いてからまた色々思うのだろうけど。あ、リーダーがメガネ君で嬉しかったです(「今日の正君は煽りますよ。メガネにヒビが入るくらい煽りますよ」と太朗さんにMCされたら何故か「外しとこ」と外されたけど)。
CD インディペンデントレーベル 1999/12/12 ¥3,150

今になって客観的に聴いてみても、完成された一つの世界があるのは断言できるように思うのだけど、こればっかりにのめりこむ青春期ってどうなの…と自身を振り返る(確か高校生の頃に主に聴いた)。決して健康的ではないな。この手の音楽は一歩引いてではなくがっつり耽溺してみてこそ聴く事の醍醐味が味わえるとも思うけど…。そういえばいわゆるビジュアル系って受け手との関係性が何やら特殊だなと感じる。
この頃のカリガリはパーソナルなものが投入されすぎていて、歌詞などでわかりづらい部分がある。だけど彼らの奇妙で独特の(そして見掛け倒しではない)日本語の使い方というものにかなり魅了された当時の私がいました。突き刺さる、というかそれでいて時に甘ったるいほど優しかったり、弱かったり強かったり。

この後のボーカル交代とそれに触発された形での方向性のまったくの変貌、そして休止まで、私にはまるで決まった筋書きを追った結果であるように何となく思われた。始まりから終わりまで…存在自体がひとつのパッケージであったかのような、後期の彼らにはそんな印象を抱く。だからカリガリというと一曲一曲についてではなく、その存在自体がどうだったかについて言及したくなる。

http://www.review-japan.com/factory/p.html?AID=870&;;MODE=3&ID=20611&GENRE=こういう文章を『8』というアルバムに関してずっと前に書いた。当時は一生懸命書いただけに、時間がたつと恥ずかしすぎてろくに読み返してはいないのだけど。『8』は今も私には謎。ミクストメディア、記号的、意味や自身の解体…そんなキーワードが頭の中にちらついて、未だにこの作品の事がよくわからない。
環境と関係性と感情の海で

沈むよ嵐の船 箱の船




このCDの画像を出す事と現在の私との関連性といえばただ一節の歌詞ぐらいで、本来はレビューはレビュー、日記は日記で書くべきなんだけど、今日の私はこの傑作を自分語りの材料として消費してしまう。ここに書き留めると後で見返してきっと情けなくなるくらいに。ひとりよがりのかよわい感傷とは似ているようで実は対極にあるものだろうから。
何というか、五十嵐氏の物事のどっちの極にもたやすく行けないような迷いややるせなさに強烈に引かれる。色々なものを視野に入れてそれら全てを自分の中で強迫的に折り合いをつけようとするのは、ひどく途方に暮れることではないかと思う。



あまりの鬱加減のところに、女の上司に話を聴いてもらえるはこびとなる。一見変わり者で面白い上司が実はPD持ちと言う事に、まじかよと心の片隅で思わず呟いてしまったが、聴いてもらう機会があって良かった。一方では泣いたところで仕方ないのだという社会の現実がよくわかる。でも、たやすく同情する人がいない事が、実は救いなのかもしれない。



二人職員が辞めて、新しい人が来てて、今こそ頑張り時なのでどんなに脱落したくても常識ある人ならそれはできるわざではないはずだ、と言い聞かせる。言い聞かせすぎてなんか変になっているのは確か。頑張るなって言われるけど、頑張らないといけない
時期って誰にでもあると思う。



最近結構簡単に吐けるようになった事に気付く。吐き癖がつくなんてどうなってるんだよおい、と自分の変貌にゆるやかに落ち込む。自転車での遠出と桜に浮かれそうになるが、冷静になってみると周囲が楽しそうに沸き立っているだけにそれだけ取り残された感が強くなる。春なんか早く終わっちまえ。

0・10

2006年3月15日 音楽
COIL 岡本定義 CD インペリアルレコード 2002/07/24 ¥3,045

最近心の中にあるのは、学校案内などにある「生徒募集最終締切り何月何日・最終選考何月何日」のようなものの渦中に当事者として置かれている時の気持ちを彷彿とさせる緊張感。それとセットで、自分がそこからはじかれるのではないかと言ったような確信を多少まじえた不安感。例えるとそういうものによく似ている気がする。

COILの最近のアルバムを聴いていると安堵する…。『Cinema』もいいですがやはりこれが。感情や意味の過多が座りの良かった昔にはきっとわからなかった、アンビエントの心地良さ。一曲目「スローダイヴ」で言葉少なに幕があがり、深海の泡を思わせる静謐で細かな音作りにイマジネーションがかきたてられる。意味付けもメッセージももっともらしい辻褄もほっぽり出したい。
DVD 東芝EMI 2006/02/22 ¥2,980

志村さん以外のメンバーの顔と名前もろくに一致しないくせに何故手に取ったかと言うと、視聴した「銀河」のPVにくらくらきたからで。演奏シーンのチカチカ明滅する電飾と、何と言ってもあの女の子達の謎のダンスとが奇妙で、何とも言えないドキドキする感じを味わった。

「桜の季節」「陽炎」「銀河」あたりが楽曲の雰囲気とマッチしてカット数もやたら多くはないので、じっくり見られて良い。彼らは桜のような季節のものを背景に持ってきつつ、あくまでもその中に生きる人間の心情を中心に描くやり方が上手いなあと思う。「桜の季節」で女の子が転ぶシーンの、あのお互いの表情がまたぐっとくる感じで。そういう表情を通して春という季節が精彩に富んで描かれていると思う。
彼らの他のクリップに登場する女の子にも言えることだけど、女子高生とひとくちに呼んでしまうには抵抗があるような制服姿の女の子達は、生真面目で純粋で清潔で、反面何か隠していそうな雰囲気があって魅力的でした。「桜の季節」の二人が特に良すぎる感じがする。
「陽炎」の画面の脂っけのなさと後半で大胆に切り替わるシーンの、「赤黄色の金木犀」の夕空とススキ野原のノスタルジックな美しさ、「虹」のトリック的な撮り方などもとても印象的。

あと変なところをつっつくようだけど、志村さんて歌う時唇の下半分がちょっと歪むんですね。何故か親近感。

Eclectic/小沢健二

2006年3月10日 音楽
CD 東芝EMI 2002/02/27 ¥3,059

「踊る月夜の前に」は「麝香」の、「bassline」は「愛について」の一部を繰り返した短い楽曲。そんな風にリフレインがいくつか差し挟まれるという構成の作品。「∞(infinity)」の「向かい合わせの鏡/向かい合わせの拡がり」という歌詞に象徴されるような合わせ鏡の世界に誘い込まれた錯覚を起こす、そんな閉じた空間の濃密さに満ちている。
譜割りをほぼ無視した歌詞の乗せ方や女性コーラスの囁きなどの歌唱面を、けだるいベース音や美しくてどこか魅惑的なピアノが豊かに饒舌に彩る。「言葉」よりも「音」の作品という感じ。夜の都会のきらめきと、濃い闇のずっと奥までもが音によって描写されている、そんな強い印象。
蠱惑的という言葉すら浮かびました。大人な作品。もっと昔から小沢健二を聴いていたならもっと語るべき事が浮かびそうなものだけど、本腰入れて聴いたのは今作が初めてなので。

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繭

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