ISBN:4101121028 文庫 安部公房 新潮社 1969/05 ¥460
湿っぽさや曖昧さのない硬質なレトリックの文章を、ねばっこい感傷にまみれた学生時代の私がどうしてあれほど「好き」と公言していたのだろうと振り返るけれど、結局は難解なものに対する憧れや崇拝だけで安部公房に執着していたのだと思う。
久しぶりに読み返してみたけど、やっぱり凄く面白いという満足感は以前と同じで、次々に転換する不条理な場面をこうも滑らかに繋ぎ合わせていく才能の凄さを改めて思った。
「空気は不眠症の臭いがするほど乾燥し〜」「ぼくの考えは水につけた膠のようにぐにゃぐにゃしはじめました」のような独特の比喩につき当たるたび、読み手と感覚を共有できなくなる限界地までひたすら野心的に漕ぎ出でようとしているような印象を受けて、久しぶりに気持ちの高揚する読書でした。
湿っぽさや曖昧さのない硬質なレトリックの文章を、ねばっこい感傷にまみれた学生時代の私がどうしてあれほど「好き」と公言していたのだろうと振り返るけれど、結局は難解なものに対する憧れや崇拝だけで安部公房に執着していたのだと思う。
久しぶりに読み返してみたけど、やっぱり凄く面白いという満足感は以前と同じで、次々に転換する不条理な場面をこうも滑らかに繋ぎ合わせていく才能の凄さを改めて思った。
「空気は不眠症の臭いがするほど乾燥し〜」「ぼくの考えは水につけた膠のようにぐにゃぐにゃしはじめました」のような独特の比喩につき当たるたび、読み手と感覚を共有できなくなる限界地までひたすら野心的に漕ぎ出でようとしているような印象を受けて、久しぶりに気持ちの高揚する読書でした。
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