昨日の夜中に思い出していたこと
2006年7月27日 煮え切らず彼のアパートにいた数ヶ月前のある夜のこと、コンビニに出かけようとアパートの一階に下りた私達は玄関のガラス戸越しに、目尻と口の端から血を流しながらよろよろとこちらへ助けを求める二十歳くらいの男の人と出くわした。「じ、事件だ!!」と私は咄嗟に思ってかなり動揺したのだけど、話を少しだけ聞けたところによると、自転車を走らせている最中に癲癇の発作が出て気を失って転倒し、しばらくそのままだったがふと気がついて何とかアパートまで戻ってきた様子だった。
きちんと止めるのもままならずに投げ出された自転車をとりあえずどけて、本人の求めるとおりに救急車を呼び先導するという初めての行為に緊張しつつ無事に救急車が走り去ると、実はその人が偶然にも彼の隣の部屋の住民であったことが後でわかった。隣同士なのに全く面識がなかったというよくありそうな話とともに、どうやら彼は以前にもこうして運ばれたことがあるらしいことが救急隊員の反応から察せられてちょっと驚く。更にその時の私には病を抱えて暮らす若い人に関する想像が、精神科系統の病以外に関してはすっぽりと抜け落ちていたことに気付かされて、今度はそんな自分の偏りにもっと驚いたのだった。
それから、彼の家で夜が来ると妙に怖くなる時期が少し続いた。私の感じる怖さはなんというか大げさかつ見当違いで、自分のために怖がっている、とでも言えるものだったのでは?と今になっては思い返すわけだけど、真夜中のひっそりした部屋でただ一人発作の兆候を恐れているその人の絵が浮かんで、すぐに駆けつけてくれる誰かはいつのだろうかなどとやけに心配になっていた、その時は本当に相手の身になったつもりで真剣に。でもその想像の中で少し自己陶酔気味に震えていたのは実は、あくまで私に近似の誰かだったのではないか?
そうして完全に履き違えた私の感傷を問い詰める一方で、壁の向こうから目覚まし時計の電子音が時々(というか結構な頻度で)ピピピピピピと3分間以上は鳴り止まないのが聞こえるたびにその彼のことを思い出して、まさか倒れているのでは?と単純に気にかかるのも事実で。救急車を呼んだ時の感じでは、またも勝手な想像だけどほかの誰かのにおいをあまり感じなかったので、普段は一人で黙々と対処しているのかなあなどと思った。だけどそれこそが私の無意識的な感傷(そして空想癖)のなせるわざで、単に寝坊しているだけかもしれないのにね。
きちんと止めるのもままならずに投げ出された自転車をとりあえずどけて、本人の求めるとおりに救急車を呼び先導するという初めての行為に緊張しつつ無事に救急車が走り去ると、実はその人が偶然にも彼の隣の部屋の住民であったことが後でわかった。隣同士なのに全く面識がなかったというよくありそうな話とともに、どうやら彼は以前にもこうして運ばれたことがあるらしいことが救急隊員の反応から察せられてちょっと驚く。更にその時の私には病を抱えて暮らす若い人に関する想像が、精神科系統の病以外に関してはすっぽりと抜け落ちていたことに気付かされて、今度はそんな自分の偏りにもっと驚いたのだった。
それから、彼の家で夜が来ると妙に怖くなる時期が少し続いた。私の感じる怖さはなんというか大げさかつ見当違いで、自分のために怖がっている、とでも言えるものだったのでは?と今になっては思い返すわけだけど、真夜中のひっそりした部屋でただ一人発作の兆候を恐れているその人の絵が浮かんで、すぐに駆けつけてくれる誰かはいつのだろうかなどとやけに心配になっていた、その時は本当に相手の身になったつもりで真剣に。でもその想像の中で少し自己陶酔気味に震えていたのは実は、あくまで私に近似の誰かだったのではないか?
そうして完全に履き違えた私の感傷を問い詰める一方で、壁の向こうから目覚まし時計の電子音が時々(というか結構な頻度で)ピピピピピピと3分間以上は鳴り止まないのが聞こえるたびにその彼のことを思い出して、まさか倒れているのでは?と単純に気にかかるのも事実で。救急車を呼んだ時の感じでは、またも勝手な想像だけどほかの誰かのにおいをあまり感じなかったので、普段は一人で黙々と対処しているのかなあなどと思った。だけどそれこそが私の無意識的な感傷(そして空想癖)のなせるわざで、単に寝坊しているだけかもしれないのにね。
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