ISBN:4101116083 文庫 幸田文 新潮社 1996/11 ¥580
着物ついでにこの本。これは良かった!銘仙や袴などの着物だけでなく、時には体操着や洋装、花嫁衣裳などの「着るもの」全般のかかわる瞬間瞬間のことを、その着るものへの思い入れや入り組んだ気持ちを織り交ぜて穏やかに語られる。
着物を通して、三人姉妹の末娘「るつ子」が主にお婆さんから知恵や儀礼、思いやりを学んで成長していく過程が書かれているのだけど、この人の文体は、ものを描写することでそれを身に着ける人物の表情やたたずまい、人柄を鮮明に浮き上がらせるのがうまいなあと思う。姿勢がしゃんと正されていくような文体で、着るもので例えれば洗濯したてのぱりっとしたシャツや、質素で手触りの優しい木綿のような感じ。ああいう風に物語が閉じられたのには何だか感慨深いものがあった。
幸田さんの綴る文章は日本語がしっとりしていてやわらかくて、心地よい肌触りの布地に対する時のように何度も触れたくなるものがある。 最近は「おとうと」「闘」「きもの」と読んで、合間に他の著者の本を手に取ったけどあまり続かず、今は「流れる」を読んでいる。落ち着いた文章がすらすらと自分の中にしみこんでいく感じがする。
明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまでもきものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。
着物ついでにこの本。これは良かった!銘仙や袴などの着物だけでなく、時には体操着や洋装、花嫁衣裳などの「着るもの」全般のかかわる瞬間瞬間のことを、その着るものへの思い入れや入り組んだ気持ちを織り交ぜて穏やかに語られる。
着物を通して、三人姉妹の末娘「るつ子」が主にお婆さんから知恵や儀礼、思いやりを学んで成長していく過程が書かれているのだけど、この人の文体は、ものを描写することでそれを身に着ける人物の表情やたたずまい、人柄を鮮明に浮き上がらせるのがうまいなあと思う。姿勢がしゃんと正されていくような文体で、着るもので例えれば洗濯したてのぱりっとしたシャツや、質素で手触りの優しい木綿のような感じ。ああいう風に物語が閉じられたのには何だか感慨深いものがあった。
幸田さんの綴る文章は日本語がしっとりしていてやわらかくて、心地よい肌触りの布地に対する時のように何度も触れたくなるものがある。 最近は「おとうと」「闘」「きもの」と読んで、合間に他の著者の本を手に取ったけどあまり続かず、今は「流れる」を読んでいる。落ち着いた文章がすらすらと自分の中にしみこんでいく感じがする。
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