ISBN:410314520X 単行本 筒井 康隆 新潮社 1990/09 ¥1,325
一般的なミステリーの手法をとっているように思わせながら、生粋のミステリー好きの読者からは「反則では」と不満の声があがりそうな大胆な着地の仕方をしている。やられた!って感じで私は面白く読めたのは、普段よっぽどのことがないとミステリーを手に取らないせいもあるのかもしれないけれど、知的で筒井康隆らしい感じのするトリックで、ミステリーという分野の中で筒井氏の持ち味が痛烈なまでに効いていて、驚きとともに読める作品ではと思う。
ともかく、素直に謎解きをしようとすると、最終的には「誰も犯人に該当しない」という結論が出てしまう。では一体犯人は?犯行の方法は?と行き詰るのだけど、この小説が「メタ・ミステリー」と銘打たれていることがヒントの一つとなっているように思う。前半で登場する間取り図も。何となく感じた違和感を放っておいて読み進めたのだけど、やっぱりあの違和感は間違っていなかったんだな、と少し嬉しさの混ざった読後感だった。
夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か、アリバイを持たぬ者は、動機は。推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
一般的なミステリーの手法をとっているように思わせながら、生粋のミステリー好きの読者からは「反則では」と不満の声があがりそうな大胆な着地の仕方をしている。やられた!って感じで私は面白く読めたのは、普段よっぽどのことがないとミステリーを手に取らないせいもあるのかもしれないけれど、知的で筒井康隆らしい感じのするトリックで、ミステリーという分野の中で筒井氏の持ち味が痛烈なまでに効いていて、驚きとともに読める作品ではと思う。
ともかく、素直に謎解きをしようとすると、最終的には「誰も犯人に該当しない」という結論が出てしまう。では一体犯人は?犯行の方法は?と行き詰るのだけど、この小説が「メタ・ミステリー」と銘打たれていることがヒントの一つとなっているように思う。前半で登場する間取り図も。何となく感じた違和感を放っておいて読み進めたのだけど、やっぱりあの違和感は間違っていなかったんだな、と少し嬉しさの混ざった読後感だった。
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