ピンク・バス/角田光代
2005年2月18日 読書
ISBN:4043726023 文庫 角川書店 2004/06 ¥420
友人に借りて読んだ中の一冊。
メインで登場する三人のうちどれにも魅力を感じる事ができなかった。いきなり訪れたと思ったら妊娠中のサエコの浮かれた気分を台無しにする言葉をしれっとして吐いたり、夜中に奇妙な行動をしたりしてサエコにストレスを与える実夏子はもちろんだが、そのサエコも大学時代に「足りないと思っていた何かが」あると幻想めいたものを勝手に感じて浮浪者生活をしている「鉄男」にくっついて回ったが、ある日それは勘違いだったと気付いて鉄男を罵り元の生活に戻ったといったように、中身のないまま何だかご都合主義でふわふわ生きてきた印象がある。一方でタクジは自分や妻など身近な人の問題についても「人間ていうのは」などと一般論や他人事のようなものの言い方をする(個人的にはこういう人が一番苦手だ)人間である。
ダメ人間は割と好きなんだけど、こういう意味で駄目な人達とは付き合っていきたくない…と思う反面、自分に関していくらか心当たりがあるから好きになれないのでは、という見方もできるのかもしれない。言ってみれば愛すべきダメ人間と、ダメさが長所になり得ない決定的に嫌な人とに区別できるような感じで。角田さんは後者の人間描写が上手いという事なのかもしれない。
さまざまなエピソードがごつごつと並べられ、それらが互いの結びつきや物語としての一貫性を持たない(ように感じた)のは、サエコの心の混乱状態や世界の見え方を表していると解釈したらいいのだろうか、でもちょっと読みづらくて最後まで興味が持続しなかった。角田作品って全部こういう感じなのだろうか。
でも『キッドナップ・ツアー』は読んでみたい。
夫・タクジとの子供を妊娠したことが判明し浮かれるサエコの家に、タクジの姉・実夏子が突然訪れてくる。不審な行動を繰り返す実夏。その言動に対して何も言わない夫に苛つき、サエコの心はかき乱されていく…。
友人に借りて読んだ中の一冊。
メインで登場する三人のうちどれにも魅力を感じる事ができなかった。いきなり訪れたと思ったら妊娠中のサエコの浮かれた気分を台無しにする言葉をしれっとして吐いたり、夜中に奇妙な行動をしたりしてサエコにストレスを与える実夏子はもちろんだが、そのサエコも大学時代に「足りないと思っていた何かが」あると幻想めいたものを勝手に感じて浮浪者生活をしている「鉄男」にくっついて回ったが、ある日それは勘違いだったと気付いて鉄男を罵り元の生活に戻ったといったように、中身のないまま何だかご都合主義でふわふわ生きてきた印象がある。一方でタクジは自分や妻など身近な人の問題についても「人間ていうのは」などと一般論や他人事のようなものの言い方をする(個人的にはこういう人が一番苦手だ)人間である。
ダメ人間は割と好きなんだけど、こういう意味で駄目な人達とは付き合っていきたくない…と思う反面、自分に関していくらか心当たりがあるから好きになれないのでは、という見方もできるのかもしれない。言ってみれば愛すべきダメ人間と、ダメさが長所になり得ない決定的に嫌な人とに区別できるような感じで。角田さんは後者の人間描写が上手いという事なのかもしれない。
さまざまなエピソードがごつごつと並べられ、それらが互いの結びつきや物語としての一貫性を持たない(ように感じた)のは、サエコの心の混乱状態や世界の見え方を表していると解釈したらいいのだろうか、でもちょっと読みづらくて最後まで興味が持続しなかった。角田作品って全部こういう感じなのだろうか。
でも『キッドナップ・ツアー』は読んでみたい。
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