ISBN:4063613097 コミック 講談社 2005/02/04 ¥560

『ヒミズ』には期待していたよりはのめり込めなかったけど、これは一気に四巻まで揃えてしまった。遡って他の作品も集めてしまいそうなほど(ちょっと系統違うようだけど)。青春時代の濃密で張り詰めた時間が生々しく描かれている。

日常の暗部や人の心の闇というようなものはごくごく普通でありすぐ隣に転がっているもので、それは人間にとってメインでもなければ例外でもないという態度をとっているような感じがした。
それから人の地の部分が瞬間的にくわっと表出されるような表情の描き方が特徴的で、やっぱり凄いなあと思わせられる。ところどころに散りばめられるギャグセンスもさすが。そういう所に漫画という形式を取る必然性みたいなものを感じる。

青春物は苦手だけど、ステレオタイプでもセンセーショナルでもない地に足の着いたリアリティーの描き方に惹かれた。主人公の感覚がまっとうというか妙に毒されていなくて健全なのも、すっと読める一因なんだと思う。それは今の所まではこの漫画にとって一貫したトーンでもあり、それが今後どう展開していくのかが気になる。大きく踏み外して転落していく事はないだろうと何となく予測しているけど、早く続きを読みたい。

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繭

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