物凄く大雑把に言うと、全く血の繋がらない三人の男女が既成の形式にとらわれない、新しい家族という場を作ろうとする映画なんですが(合ってますかね?妥当かなこんな説明で)、これがもう好きで好きで。画面にある温度が心地良くて、映画館で一回、レンタルで三回見ているし、今後も見る気がする。あまり同じ映画を複数回見る事はないのだが。

人が生きていく事に大きく関わるテーマを、時に笑いを交えつつ軽妙に時にしみじみと描いていく手法と演技の自然さ、それぞれが抱える悲しみや寂しさなどの思いの複雑さをこちらに感じさせ想像させる丁寧な作りにすんなり引き込まれる。生々しくも温かい現実の匂いと手触り。それは美しいものばかりではないがだからこそ訴えかけるものがあると思う。「誰かと一緒にいる嬉しさ」という事を素直に感じられる、物凄く好きな作品です。周囲との関わりを通じて傷つき悩みながら作り上げる新しい家族という場は、強くてしなやかなものだと思う。
最後の方に勝博(田辺誠一)が泣く場面があるんですが、しみじみと三人の思いが伝わってくる場面で、好きです。じっと見入ってしまう。

人との関係とは、色々と必要以上に入り組みすぎていてその中で磨り減り自嘲し諦めの一途を辿るだけが全てだろうと(この歳で何を知っているわけでもないくせに)思い込んでしまうのだが、そうではなくて傷付けあう時もあるがもっとシンプルに喜べたり共有できたりもするものではなかっただろうかと、少し思い返してみたくなる。
私に何度もこの映画を見させてしまうのは自分の根っこにある憧れなのだと思い、その度この映画には希望を与えられる。


でついつい自分は自分の通ってきた(または現在の)人間関係をどうとらえるのか、どうありたいのかに考えが及んでしまう。
結局自分を追い詰めたものは他人ではなく、自分自身の妄想だったのではないかと考えるわけで、またそう考えるのが一番収まりが良いと感じる。こっちに来て三年と少しで多少は自分を客観視できるようになり色々な問題もある程度収束しそうに思えてきたが、しかし何かが大きく欠けたままここまで来たという思いも心の底にしつこくこびりついているわけで、それをどうにかするにはやっぱり人との関係に帰っていくしかないのではないか?などと。

卒論に選んだテーマも家族が絡んでくるもので、取り上げる予定の作品では最終的に個々人が再生していくわけでそういうものを選びたい心境になっているのだが、それにしてもお前執着しすぎって気もしますなあ。ともかく自分だから書けるものも何かないかなーと現在考え中。実のあるものにしたいという欲はある。
自分の問題にケリをつけるには相手にその責任を取れと迫るのではなく、自分の手で模索するしかないんだろうなと。そんな風に最近思う。
にしても本当、しつこいねえ自分。呆れなくもない。大げさじゃねえのかと。

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繭

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