久々に本の話

2003年8月13日 読書
・宮沢章夫『よくわからないねじ』
一時期、宮沢さんの本を読んでも私の脳がウンともスンとも言わなかったので、どうしたもんかこれはと不安を感じつつ放っておいたのを、今ならいけそうな気がして読んでみる。が、『百年目の青空』の文庫版という事を全く知らずに買い、だぶってしまった。迂闊でした。
前のエッセイ集の方が笑えた気がするのはやはりこちら側の変化のせい?何故だろう、やはり笑わそうとする意図が見えるかどうかをつい探らずにはいられないせいなのか(そう意図して書くのは当然でも、個人的にはそれが読者に見えるものはアウト。本書については微妙な所)。本自体は相変わらず宮沢節炸裂で、どうでも良い事を延々繰り広げてくれてます。このどうでも良さがたまらない。第四章はようやく声を出して笑えた。特に「強そうに見えるかどうか」「その点を反省せよ」辺りがヒット。無数の地蔵…(笑)
これからも平然とした語り口は変わらないで欲しい。

・福永武彦『草の花』
ひところの文学青年にウケそうな要素が満載。新潮文庫版の紹介文を読んでさすがの私もむずがゆーい感じを覚えつつも、それでも惹かれるものを感じるという事が、私に時代錯誤的でひ弱な所があるのを物語っている気がする。
内容に全面的に共感するものでもないけど、あの潔癖さは少しわかるかもしれない。風景や心情の綿密な描写が今の私には凄く落ち着く。結構版を重ねている事に驚いた。読まれてるのねえ…。こういう持ち味の作家だったのか、作品として狙って書いているのか(どちらでもあるのかもしれないけど)。実はあまり何作も読んでいないのでよくわからない。
『飛ぶ男』『夢見る少年の昼と夜』などの短編集は新潮文庫ではもう絶版なんだろうか。あれ好きなんだけどなあ。少なくとも『草の花』よりは時代に関係なく共感を呼ぶものがあると思うんですが。

まだ本格的に読書に復帰できそうもないけど、また色々読んでいきたい。やっぱり文字の羅列として漠然と読んでしまう瞬間がまだ多くて、「おっといかんいかん」と気付いては元に戻ってちゃんと読むという、かなり二度手間な事をしています。

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繭

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