シャンデリア

2006年7月18日 音楽
PlasticTree CD ユニバーサルJ 2006/06/28 ¥3,500

通常盤よりはこの初回盤ジャケットの方が好きなのだけど、公式サイトで流れているインストってもしかしたら「六月の雨(雨降りmix)」か?と気付いて通常盤への未練が急に強まる。ああいうポップでピカピカした人工的な手触りの音ばかりのアルバムを作って欲しいと思っていたくらいだから。アキラ(g)のミックスなんだっけ?しまったなあ。最近、昔のようなギターらしからぬ音のギターを聴きたいと思っているところ。

そういう私個人の思惑とは反して、最新アルバムはギターロック色のよりはっきり打ち出された仕上がりになっている。そのためか一周目は結構「フーン」って感じで割と適当に聞き流していたのだけど、リピートするごとに少しずつ各楽曲ごとの顔が見えてきて、これはこれでという感じ。一曲目「ヘイト・レッド〜」のエコーのかかったボーカルとギターリフ部分、「puppet talk」のノイズにまみれたギターのかっこよさ。アキラの書く歌詞には竜太朗がしないような言い回しが散見されて、ドライで皮肉っぽさがあるのが楽曲に新鮮味を与えているような。「37℃」はアコースティックギターと歌われ方が穏やかで柔らかく、彼らの持ち味が発揮されている一曲だし、何と言っても「空中ブランコ」の緻密な構成と静かなドラマティックさにはぐっと引き寄せられた。
安定して鳴らされる低音が隙間なく網の目のように敷き詰められて、その上に浮遊感のあるボーカルが乗っている構図が映像的でほんとうに奥深く、彼らの王道とも言える雰囲気がある。この一曲だけでもアルバム一枚分くらいのドラマを感じると言いたくなったほど私の中ではヒット。ラストから二番目という位置に置かれることによってシングル単体で聴くのとはまた違った響きを付加されている。

と言いながらも例えばこの前「Puppet Show」について触れた時ほど力を入れて書けないのは、やっぱり物足りなかったからだろうか。この前調子の悪い時に聴いていてふと思い至ったのだけど、ポップスあるいはロックとしては良質で演奏も昔のようなぼやけたラインを整えるようにしていて研ぎ澄まされてはいるのだけど、このアルバムにはざわざわする感じだとか未知のものに触れる時の感じや生々しさなんかが抜け落ちて聴こえるから、そういうものを、意思の手の届かない範疇に存在するマジックを求める私にはぴんとこなかったのかもしれない。でもそれが「上手くなる」という事なのかなあ。何と言うか、削ぎ落とされたものとは?と目の前にないものの方へと私はかえって思いを及ばせてしまうのでした。失礼な行いとはわかっているのだけど。

ともあれ、以前の世界観よりもわかりやすいものへと変化し、外に発信しようとする姿勢がそなわってきているのは事実だし、その事実にないものねだり的な思いを付け加えてこれ以上口にするのはきりがなく無用なのだろうなと思った。彼らの地道に積み重ねてきたものを身勝手に損なう振る舞いでしかない(いや、もはや損なわれもしないかもしれない)。ツアーの日本追加公演が決まりましたね。ヨーロッパライブの様子も雑誌等で知りたく思います。メキシコライブは残念ながら急遽中止となったらしいですが。

コメント

繭

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索