ISBN:4062113953 単行本 講談社 2002/10 ¥1,680

この表紙の手触りが面白いよねと友人が貸してくれた。一番好きなのは三つ目の「ピコーン!」で、見開きに山ほど「フェ○○○」の文字が登場するあたりにはあまりの事に失笑したけど、最後まで読み通してみてほとんど力技のようなダイナミズムには清清しさを覚えた。
恋人がある日突然行方不明になるが、彼は不可解な細工をされた遺体となって発見される。その謎を解明しに乗り出すという話で、小気味良くて泣き笑いのような複雑な思いを抱かされる部分もあって、なかなか良かった(最後のあたりとか)
一方では作者の特徴的な文体のせいか人物の感情が軽く感じられてしまうのが私には物足りなかった(死がからむ物語は重くなくては…という思い込みもおかしなものだけど)。実況放送をそのまま文字におこしていくような文体はリズムよく読めるのだが、あまりにリズミカルすぎると感じる瞬間も結構あった。だけど死というものをこういう形にできるのが小説の面白さなのかもと思ったりもし、そんな時に自分の傾向に気付くというわけだ。実験的、新奇なものは面白く読むもののどこか馴染めないという感覚の古さを自分には感じる。

何作も読みはしないかなという感じはする。面白いには違いないけど。

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繭

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