ISBN:4062122693 単行本 就職がこわい/香山 リカ 講談社 2004/02/20 ¥1,365
先日例のシロップ好きの友人と会っていた時に、もっと学生でいたいという話になった。私は、他の同期よりも出遅れるのが恐くて研修にも早めに出ているのだけど、出来るだけ世に出る日を先延ばししたいという彼女は三月末にようやく研修に出向くのだと言った。
それを受けて、お互い根本的な資質は似ているのに、人から逃げないでいる所や外に向かおうとする姿勢が偉いと私の事を言ってくれる。またはみ出した人に優しいのが良いとも言われた。だけど自分自身の本音では、人に向かうのは一種のねばっこい執着心からで、外からの規範に縛られるままに前進後退するうちにずるずると何とかなったからまだ外へ向かえているのだと思う。いつも自分から積極的に選び取る事をしないで、外の物事にせっつかれ脅かされしながら向かわざるをえなかっただけだ。はみ出し云々にしたってやっぱり共通の資質が無意識にそうさせているだけだ。何にしても褒められたものではない。そういう後ろ暗さを隠してソツのないふりに走ってしまうのが自分のずるさだろうと、知りながらもそうする。自分が滅多打ちに傷ついて潰れている惨めな様子を見せたくないと思う。つまり似た者同士だと優位に立ちたがるという事なのだろうか…それもひっそりと。ずるいな
ところで、うわあそうだったのか…と沈黙する一幕があった。そういう明確な形をとる事が状況のひどさにはっきり比例するとは限らないし、同じ程度のものでも持ちこたえられるかどうかは人それぞれだから…という立場であるものの、さすがに戸惑った。自虐ぎみに自分自身をネタにする人で、悲壮感や湿っぽさを感じさせないのが良いなと思わせる人ではあるけど、その裏にうっかり気付いてしまったようで一人で気まずくなった。
自分がそういう後ろ楯もなくここまで曲がりなりにもやってこれたのは、何だかんだ言いつつも案外タフでたまたま巡り合わせが良く、(彼女が運が悪いと言うのでは決してなくて)更にいくつかの感謝すべき出会いを前向きに受け止められた(…のだろうか)結果なのかもしれない…と思ったり、いやそれでも色々あるんだよと内心呟いてみたり…。
地元に帰る彼女とは今後もつながりを絶ちたくないし、一番気が合うとも私は思っているので、時々メールででも様子を聞かせてほしいよ。
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人に貸し出し中なので以下うろ覚えだけど、就職活動の独特のムードに煽られて何の疑いも迷いもなく「やるぞー!」と拳を突き上げられる人だけが「勝ち組」で、胡散臭さを感じて立ち止まってしまうのは「負け組」というのはおかしいのではないかと香山氏は本書で疑問を投げかけている。私は勝ち/負けという区分が嫌いで、何も知らない他人がしたり顔で私に「負け」の冠をかぶせてくるとしたら、と思うとそういうものと関係のない場所で生きたいと願ってしまう。(本書では便宜上使ってあるだけだとは思うけど。勝者/敗者だったかも)ともあれ、この部分には私の抱いていた違和感が言葉になっていて頷いたと共に、三年生冬頃からの周囲の雰囲気や自分の抱いていた不安などの記憶が切れ切れに思い出された。幸い「個性的」を名乗る人の発する気に当てられる事なく終えられたが(私の周囲はみんな結構地道だった)
これもまた地元に帰る他の友人が処分する荷物を貰い受けてきたうちの一冊で、本当に皆それぞれ悩んでいたんだなあと…この本を見て改めて実感したのだった。
そんなわけで明日はもう卒業式です。
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>雪風さん
こちらこそご挨拶もせずにリンクだけしてしまい、すみませんでした。日記の趣旨に関しては了解してのリンクでしたので、相互にしていただかなくても全く構いません。
3/8の読書の効能についての考え方や、3/17の日記など、色々と共感を覚える部分があり興味深く読ませてもらってます。これからも楽しみに読ませてもらいたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
先日例のシロップ好きの友人と会っていた時に、もっと学生でいたいという話になった。私は、他の同期よりも出遅れるのが恐くて研修にも早めに出ているのだけど、出来るだけ世に出る日を先延ばししたいという彼女は三月末にようやく研修に出向くのだと言った。
それを受けて、お互い根本的な資質は似ているのに、人から逃げないでいる所や外に向かおうとする姿勢が偉いと私の事を言ってくれる。またはみ出した人に優しいのが良いとも言われた。だけど自分自身の本音では、人に向かうのは一種のねばっこい執着心からで、外からの規範に縛られるままに前進後退するうちにずるずると何とかなったからまだ外へ向かえているのだと思う。いつも自分から積極的に選び取る事をしないで、外の物事にせっつかれ脅かされしながら向かわざるをえなかっただけだ。はみ出し云々にしたってやっぱり共通の資質が無意識にそうさせているだけだ。何にしても褒められたものではない。そういう後ろ暗さを隠してソツのないふりに走ってしまうのが自分のずるさだろうと、知りながらもそうする。自分が滅多打ちに傷ついて潰れている惨めな様子を見せたくないと思う。つまり似た者同士だと優位に立ちたがるという事なのだろうか…それもひっそりと。ずるいな
ところで、うわあそうだったのか…と沈黙する一幕があった。そういう明確な形をとる事が状況のひどさにはっきり比例するとは限らないし、同じ程度のものでも持ちこたえられるかどうかは人それぞれだから…という立場であるものの、さすがに戸惑った。自虐ぎみに自分自身をネタにする人で、悲壮感や湿っぽさを感じさせないのが良いなと思わせる人ではあるけど、その裏にうっかり気付いてしまったようで一人で気まずくなった。
自分がそういう後ろ楯もなくここまで曲がりなりにもやってこれたのは、何だかんだ言いつつも案外タフでたまたま巡り合わせが良く、(彼女が運が悪いと言うのでは決してなくて)更にいくつかの感謝すべき出会いを前向きに受け止められた(…のだろうか)結果なのかもしれない…と思ったり、いやそれでも色々あるんだよと内心呟いてみたり…。
地元に帰る彼女とは今後もつながりを絶ちたくないし、一番気が合うとも私は思っているので、時々メールででも様子を聞かせてほしいよ。
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人に貸し出し中なので以下うろ覚えだけど、就職活動の独特のムードに煽られて何の疑いも迷いもなく「やるぞー!」と拳を突き上げられる人だけが「勝ち組」で、胡散臭さを感じて立ち止まってしまうのは「負け組」というのはおかしいのではないかと香山氏は本書で疑問を投げかけている。私は勝ち/負けという区分が嫌いで、何も知らない他人がしたり顔で私に「負け」の冠をかぶせてくるとしたら、と思うとそういうものと関係のない場所で生きたいと願ってしまう。(本書では便宜上使ってあるだけだとは思うけど。勝者/敗者だったかも)ともあれ、この部分には私の抱いていた違和感が言葉になっていて頷いたと共に、三年生冬頃からの周囲の雰囲気や自分の抱いていた不安などの記憶が切れ切れに思い出された。幸い「個性的」を名乗る人の発する気に当てられる事なく終えられたが(私の周囲はみんな結構地道だった)
これもまた地元に帰る他の友人が処分する荷物を貰い受けてきたうちの一冊で、本当に皆それぞれ悩んでいたんだなあと…この本を見て改めて実感したのだった。
そんなわけで明日はもう卒業式です。
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>雪風さん
こちらこそご挨拶もせずにリンクだけしてしまい、すみませんでした。日記の趣旨に関しては了解してのリンクでしたので、相互にしていただかなくても全く構いません。
3/8の読書の効能についての考え方や、3/17の日記など、色々と共感を覚える部分があり興味深く読ませてもらってます。これからも楽しみに読ませてもらいたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
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