見学

2004年11月2日
授業の一環で精神病院を見学。
事前に説明があったが精神福祉は他の分野に比べてかなり遅れをとっているとの事だ。以下手元にテキストがないのでうろ覚えだが、福祉関係の事業には第一種と第二種があって、第二種に比べると第一種の方が審査か基準かが厳しいのだが、児童や老人は勿論、知的や身体でも第一種は定められているのに、精神のみ第二種しかなかったと思う。第二種の場合医療機関が参入でき、利益優先で事業を行なう事にもなりかねない。
また昔から医療が中心となっていて、そこに患者のライフスタイルを考慮し、生活者として見る福祉の観点が加わったのは近年になってから。明治か大正あたりの法律の不具合が未だに尾を引いていると先生は話していた。

そういった講義ののち病院へ向かう。工事中で半分は改装が完了し、壁や照明が柔らかい色合いになっていた。しかし残りの半分はつい最近までこの状態だったとは信じたくない暗さだった。狭い部屋に二十人ほど収容(まさに)されていた頃の名残だという和室の病室も見せてもらった。そういえば南条あやの入院レポートを読んだ事があるけど、若い人ほとんどいなかったけどそういうもの?(部屋にいるのかも)お年寄りが圧倒的。介護保険に切り替わってからなおさら、特養では受け入れてくれないらしい。
三ヶ月以内で退院する人がほとんどって言ってたけど、社会的入院も少なくないらしいし院内を見させてもらった感じではあまり説得力がなかった。

保護室の監視カメラについて質問した。昔より今の方が数が増えたという。そして全ての人が監視が必要というわけではないという。重ねて質問すると「増えた意味合いはよくわからない」とぼそっと本音が漏れたような答えをもらった。「わからない」という言葉はショックなものだった。向こうからすれば、何も知らない学生が理想論ばかりぶってんじゃねえよという不愉快さもあるだろう。どんなに理想を抱いていても、現場では現実に直面しジレンマに悩まされる事が多いと思うから。だけどこう言うのはどう考えても生意気ではあるが、その相談員さん達はどうにも全力を尽くしているようには見えなかった。病院だからだろうか。監視カメラを容易に増やす前にもっと方法は何かないのだろうか。その人らしい生活とか地域のサポートとか、うつくしい言葉は講義と見学と就活で聞き飽きたのだ。
上から叱りつけるように患者に接している職員(医者かも)の対応はあれで当然なのか理由があるのか。高いお金を取りながら、本当にそれに見合うだけの機能を果たしてるの?みたいなデイケアも結構あると聞いていたがここはどうなのか。ともやもやしながらも、追究するような姿勢と受け取られかねないと思いこれ以上の質問はやめた。

児童やら知的やらの他の見学の時と、老人と今回の精神とでは明らかに自分の気持ちの入りようが違ったのを実感した。居室にしても、じろじろ見て回るのはどの場合にもはばかられるが、後者の時はそれを決まりごととして頭で認識するよりも前に気持ちの面でそういった思いが湧いたから。

日を置いたせいか変に落ち着き払った口調だな。

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繭

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